水の都の巫女 | ナノ


02

 鋼鉄島に着いて早速ルカリオを連れた波導使いさんを探す事にした。近くにいた人に聞いてみると島の中心にある岩山の近くによく見かけるらしい。

「なかなか足場が悪いね…。うっかり足を滑らせたら捻りそう」

「滑ったと思った瞬間、元の姿に戻るからケガはしないよ!」

「岩の表面が凍ってないからまだ歩きやすいと思うよ」

「シロガネ山基準……。そっか、転けそうになったら飛べばいいんだ!」

「…ジルチも少しズレてるよね」

「"も"ってレッドの基準がズレてる自覚あるんだ?」

「多少はね。グリーンにしつこく言われてたらそう思うようになった」

「グリーン…苦労したんだね……」

岩山を歩いてると私達に敵意を向けられてる感じがして周りに警戒をした。すると目の前にあった大きな岩が粉々になってボスゴドラが現れた。

「ボスゴドラ!」

「ジルチ!すごく怒ってるみたいだよ!?」

「怒ってる理由はわからないけどボスゴドラが相手なら…いけっ!バンギラス!!」

バンギラスを出すとボスゴドラはまっすぐ突進してきた。もみ合ってると岩山の影からココドラが顔を覗かせているのを見つけた。

「ジルチ…この岩山、ボスゴドラの巣だ!」

「…!知らずに巣に入ったからボスゴドラが怒ってるんだ…っ。バンギラス、戻って!」

バンギラスはボスゴドラを押し返して1歩下がったからボールに戻した。

「ボスゴドラ!私達が知らずにあなた達の巣に入ってごめん!すぐ出ていくから―」

事情を話してる最中にボスゴドラは殴りかかってきたからリフレクターを張った。しかし力が不安定な状態のせいかすぐに砕け散った。

「ッ!」

「ジルチ!乗って!」

「わかった!!」

ラティアスが元の姿になってレッドを乗せていた。私はレッドの手に掴まって飛び乗った。下を見るとボスゴドラがはかいこうせんを放つ構えをしていた。

「ラティアス!右に旋回して!!」

右に避けてギリギリはかいこうせんが当たらずに済んだ。とりあえずボスゴドラの巣から離れた岩山に降りて一息をついた。

「はぁ…ボスゴドラの巣には気をつけなきゃ」

「そうだね」

『怖かった…』

岩にもたれてると次は何かが飛んできたから私は横へ飛び退けた。

『ジルチ!大丈夫!?』

「私は大丈夫。…あれはルカリオ!」

少し離れた場所にルカリオが立っていた。私が攻撃を避けた事に少し驚いた顔をしていた。

『ボスゴドラの巣の周辺で騒ぎを起こしたのはお前達か?』

「そうだよ。ルカリオを連れた波導使いの人を探してる時にボスゴドラの巣だと気づかずに入っちゃって怒らせてしまった。騒がしくしてごめん」

『……ギンガ団の一員じゃないのか?』

「ギンガ団…?」

「ルカリオ、僕達はホウエン地方からシンオウ地方に来たばかりでこの辺りの事はさっぱりなんだ」

『……お前達の波導から嘘をついてはなさそうだ。だが……』

「うわっ!」

ルカリオは骨のような形をした棒を作り出して私に殴りかかってきた。かなり動きが速くて少しでも反応が遅かったら今のでやられていた。

『お前の波導は妙だ。人のようで人じゃない、波導が不安定だっ』

「それは…っ!」

ルカリオのボーンラッシュを後ろへ避けていると背中に岩が当たった。

「しまった…!!」

「ジルチ!」『ジルチー!』

とっさにリフレクターを張ったけど叩き割られて横っ腹にボーンラッシュが命中した。

「うぐ……っ」

『やはり、おかしい。人ならリフレクターを張れる訳がない』

「私は―」

「ルカリオ!!」

自分がポケモンと人の間に産まれたからと言おうとしたら誰かが来た。痛む横腹を押さえながら立ち上がるとレッド達が駆けつけて私を支えてくれた。
その人はルカリオがボーンラッシュを構えているのを制して私達に近づいてきた。

「遠くでルカリオが戦っているから何事かと来てみたら…一体何があったんだい?」

「実は…」

私はここに来た理由と自分がポケモンと人の間に産まれた者だと説明をした。

「なるほど…そういう事か。私はゲン、君達が探している波導使いだ。そしてルカリオは私のパートナーだ。事情を知らなかったはとはいえ、攻撃してすまなかった……」

「いえ、こちらも騒ぎを起こしてしまってすみませんでした……私はジルチ。彼はレッド、その隣にいるのはラティアス」

「よろしく」『よろしくーっ』

『…大丈夫?』

「大丈夫。このくらいバンギラスの拳よりマシだよ」

お互い和解してルカリオは私を心配してくれた。傷がどうなってるか見てないけど多分打撲してるかもしれないと思った。


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