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光が収まるとライボルトは特徴的なたてがみから巨大な稲妻状の形をした体毛を身にまとった姿になっていた。
「凄い…これがメガシンカ…!!」
ふと日差しが強くなったと思っているとリザードンが吠えた。
リザードンも新たに頭に生えた長い角が特徴的で尻尾が長く伸びていた。他にも腕にも翼を備えたり、背中の翼もひとまわり大きく変化していた。
「これは…ひでり?」
「ダイゴさん、メガシンカしたら特性が変わるのですか?」
「そうだね。変わるポケモンもいれば変わらないポケモンもいる。メガライボルトの特性はいかく、メガリザードンYの特性はひでりだよ」
「なるほど…ひらいしんじゃなくなったのは少し痛いけど物理攻撃の威力を下げるのはいいかな」
「ひでりならジルチのバクフーンとリーフィアのサポートができるね」
「そっか!にほんばれと同じ効果だからこの間まで悩んでた事が解決するね!」
メガシンカの凄さを確認しているとダイゴさんは思い出したかのようにポケットから何かを取り出した。
「ボクの家に水没して電源がつかなくなったポケギアを置いていったままだったから持ってきたよ。勝手ながら新しいポケナビの方にデータを移させてもらった。一応確認してくれるかな?」
「すっかり忘れてました…!ありがとうございます!」
操作はポケギアとあまり変わっていなかったからすぐ連絡先の確認ができたけど、さりげなく一番下にダイゴさんの電話番号があった。ポケギアと違ってラジオがテレビナビになってて機能が豊富になってた。
「何かあったら連絡してね」
「はい!」
「そういえばジルチちゃんは体内にあるエネルギーの流れについて調べてたよね?」
「そうですよ。今のところ何の手がかりがなくて困ってます……」
都にあった書物を読んでもこれといった手がかりがなかった。水を操る力は何の問題なく使えるけどポケモンの技だけ力加減ができなくて苦戦をしていた。
「シンオウ地方に物質の振動といったオーラを操る人…波導使いというのがいるみたいだよ。君の問題の解決に繋がるかわからないけど行ってみる価値はあるんじゃないかな?」
「シンオウ地方、波導使い…。ずっとここで悩んでても仕方ないですからね、行ってみます。シンオウ地方へ!」
「シンオウ地方は神話といったものが多いから興味があるならミオシティにある図書館に行くといいよ」
「神話…!!波導使いの人に会ってこの目の問題が解決したら調べてみようと思います!レッド、シンオウ地方一緒に来る?」
「もちろん」
レッドは私の手をぎゅっと握って微笑んだ。レッドと一緒ならどんな困難でも立ち向かえそうな気がする。
「あたしもジルチについていく!兄さん!いいかなっ?」
「都も安定してきたしジルチがよければいいんじゃないかな」
「ジルチ!あたしもシンオウ地方へ行ってみたい!別に手持ちに加わるとかじゃなくて一緒に歩いたり飛びたいの!あ、でも人が多そうな所は姿を消すけど…ね?」
「うん、いいよ。でもお父さんが1人になっちゃうね…」
「あ……兄さん1人じゃ心配になるね…」
やや落ち込んでいるラティアスを見たお父さんは何か考えているような顔をした。
「僕1人といっても定期的に仲間が来たり、ミクリの所にお邪魔するから問題はないけどジルチが心配するなら…代わりと言ったら聞こえが悪いかもしれないけど、カイリューを僕に託してくれないか?」
「カイリューを?」
「彼と話してる時にある悩みを僕に言ってきたんだ。内容は言えないけどね」
「そうなんだ…?」
私はベルトに付けてたカイリューのボールを高く投げた。カイリューが出てくると何か覚悟をしたような顔をしていた。
「……カイリューが悩んでる事を聞き出すつもりはないよ。カイリューがいいのなら…お父さんのそばに居て欲しいな」
カイリューは私からボールを受け取るとお父さんの隣に行った。
「ジルチちゃん。ボクもサフィラスの所に訪ねたりするから安心して?君は君のやるべき事をすればいいと思う」
「ダイゴさん…」
「それにさ、全く連絡する手段がない訳じゃないんだよ?」
「え?どうやって連絡するの?」
「僕とラティアスが使える"ゆめうつし"を使えば可能さ」
「そうだった!!すっかり忘れてたよっ!ゆめうつしはねー、見たものや考えた事を映像化して相手に見せる事ができるんだよ!」
「そんな事ができるんだ!?」
「だから心配しなくても大丈夫。ジルチ、今は自分の事に集中するんだ。帰る場所はカントーやジョウトにたくさんあるだろうけどここもジルチの実家みたいなものだからね」
「わかったよ、お父さん!」
私はレッドとラティアスと共にシンオウ地方へ行く決心がついた。
明日出発する事にして、今日はメガシンカした2匹とバトルをして過ごした。
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