17
メタグロスとミロカロス、ライボルトとリザードンが睨み合った。
「バクフーンならまだしもライボルトとは…ミロカロスの特防が優れていても相手が少し悪いな」
「それを言ったらボクも彼らも同じさ。ま、ボクは負けるつもりなんてないけどね」
「レッド、さっき言ってた作戦で大丈夫?」
「大丈夫。任せて」
一瞬の沈黙があったけど何かが合図になったのか全員指示を出した。
「リザードン、ミロカロスにエアスラッシュ!」
「ライボルト、メタグロスにかえんほうしゃ!」
「メタグロス、ライボルトにコメットパンチ!」
「ミロカロス、リザードンにハイドロポンプ」
ダイゴさん達は攻撃対象は狙い通りだったと思うけど、私達の攻撃対象が違っていた事に意外そうな顔をした。4匹はそれぞれの技を避け、距離を置いた。一瞬の出来事なのに迫力があったのは実力がある者同士だからかもしれない。
「まさかそうくるとはね…。ちょっと意外だったよ」
「ライボルトの攻撃を予想をしていたが…これは、また」
「言った通りだったでしょ?」
「うん!よぉし…!ライボルト、もう1度かえんほうしゃ!」
ライボルトの放ったかえんほうしゃがメタグロスを包んだ。
「やっぱり動きが速いね…っ!ライボルトがその気ならボクは全力を出すよ!!」
隣でミロカロスとリザードンが攻撃し合っているとダイゴさんは襟に付けていたピンを外してメタグロスに向けた。
「ジルチちゃん、メガシンカを知っているかい?」
「メガシンカ?」
「知らないなら見せてあげるよ!進化を超えた進化をね!メタグロス、メガシンカだ!」
ピンに付けている石とメタグロスの脚に付けている石が輝くとメタグロスの姿が変わった。私達はバトル中に進化に似た事が起こって驚いたけど、戦う相手に変わりはない。むしろ強くなってるのがわかるとそれだけで熱くなってきた。
「おやおや、ダイゴが全力を出すとは…すぐにライボルトの援護をしにいかなくていいのかい?」
「リザードン、りゅうのはどう!このバトルで何が起こるかわからなくてもジルチなら大丈夫だと信じてます。…僕もそのメタグロスと戦いたいけど今はミロカロスが相手です!」
「ほお…。では勇敢で熱い炎の彼らに最高のショーを見せてあげよう!私とミロカロスによる、水のイリュージョンを!!」
水の都の舞台に相応しい戦いをとミクリさんが話しているのを聞きながらメガシンカをしたメタグロスを観察しようと思った。攻撃、防御は上がっているのは間違いないと思うけど油断はできない。
「メガシンカはバトル中のみに起こる不思議な現象…まだ謎が多く、あまり知られていないんだ」
「興味深いですね」
「あたしもメガシンカできるよ!」
ラティアスは手のひらくらいの丸い石を持って腕を振っていた。
「ラティアスが?」
「ラティアスから石の気配がしたけどまさかメガストーンだったとはね」
石の気配ってなんだろうと思いつつ、バトルが終わったらラティアスとお父さんに詳しく聞こうと思った。
「っと、メガシンカの説明はこれくらいにしておこう。バトルを再開しないとね!」
「そうですよ!ライボルト、じゅうでん!」
「メガメタグロスの強さ、存分に見せてあげる!バレットパンチ!」
「…速いっ!」
見た目的に素早さは遅くなってると予想をしていたけどそれは間違いだった。じゅうでんはできたものの、バレットパンチを避ける事ができなかった。
バレットパンチで飛ばされたライボルトをリザードンは攻撃を避けるついでに受け止めてくれた。
「ありがとう!」
「いいよ。メガメタグロス…だっけ?なかなか速いね」
「うん。でも……」
「「ライボルトほどじゃない」」
意見は一致、やる事は1つ。私達は相手の体力を半分になるまで戦って、そのあと戦う相手の交代するという作戦だった。相手の動きと技をお互いに確認して、後半に一気に叩き込むのが目的でレッドが提案したのが意外だった。
「メガシンカ…まだまだ私の知らない事がいっぱいあるっ!!ライボルト、このバトル楽しもっ!」
『ワウ!!』
ライボルトは楽しそうに吠えて体毛から電気が溢れた。手強い相手を目の前に私は口角を上げた。
「ライボルト!かみなり!!!」
この雷撃に、高ぶった感情を込めて、メガメタグロスにかみなりを落とした。
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