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1匹のアブソルがつじぎりをしてきたからすかさずリフレクターを張って、10万ボルトを放った。2匹目が横から攻撃しようとした所をミクリさんのミロカロスがハイドロポンプを放った。
「援護は任せたまえ」
「ありがとうございます!」
3匹目のアブソルはメタグロスのしねんのずつきで遠くに飛ばされていた。
「さぁ、ジルチちゃん!サフィラスの元へ!」
「はい!」
邪魔をしてきたアブソルはいなくなってお父さんの所へ飛び込んだ。
「お父さんっ!!」
「ジルチ…!立派にっ…ぐあぁ!!!」
お父さんの左の頬に私の渾身の一撃を込めた拳を殴りつけた。その衝撃でお父さんは軽く後ろに飛んでいって、その光景に全員が動きを止めた。
「ジルチちゃん!?」
「…(そういえば殴るって言ってたような)」
「ちょっと、久しぶりの再会でいきなり殴るなんて酷いじゃないか!!そんな風に育てた覚えはないよ!」
「会ったら1発は殴るって決めてたの!勝手に人の許可もなくワタルさんに私を嫁にやるって言わないでよ!!」
「え、ワタルが本当にジルチを嫁に迎えようとしたんだ?」
「そう!私がリーグ戦でワタルさんに負けたら嫁いでもらうって言われた!」
「でもここに来たって事は彼に勝ったんだろ?よかったじゃないか、ライバルと呼べる友達と同じリーグ制覇して」
「そうだけど…!!」
私とお父さんが言い争っているとアブソル達が攻撃しようと近づいてきた。
「「今は……」」
「家族会議中だ!!」
「邪魔をしないで!!」
私とお父さんが一斉に攻撃をして3匹のアブソルは戦闘不能になった。
「そもそも何でワタルさんの所に嫁がせようとしたの!」
「だって彼ドラゴン使いで一番優秀だし、面倒見が良さそうだったから…」
「そんな理由!?お母さんに相談はしなかったの?」
「シズクに聞いたら別にいいけどジルチには好きな子がいるわよ?って言われた」
「お母さんまで…!!」
何という事だと頭を抱えていると向こうは決着がついて男達は大人しくなった。
「さて…何度もここに来ては好き勝手に荒らしてくれたね。それなりに覚悟はあるのか?」
「…………任務失敗」
「……撤退する」
「……次は必ず娘を拐う」
3人組はポケモンを戻すとその場から姿を消した。恐らく奴らは昔の水の都でお母さんを拐った3人組で間違いないだろう。
「…逃げたか」
「お父さん、あいつらはもしかして昔に……」
「そうだよ。僕とシズクを水の都から拐った連中だ」
「やっぱり…」
また奴らと戦う事になると思うからそれまでに連中の情報を調べて対策を取らなきゃと思っているとお父さんに頭を撫でられた。
「ジルチ、大きくなったね。それにライボルトも立派に育ってて嬉しいよ。だけど…その右目はどうしたんだい?シズクと同じで綺麗な緑のはずなのに」
「……ロケット団に捕まった時に…能力を無理矢理引き出されて暴走した。その影響で右目が金色のままなの」
「……っ!」
お父さんは悲しそうな顔をした。
「すまない、ジルチ…」
「お父さんが謝る事じゃないよ。あの時レッド達が助けてくれたし、今は無事にお父さんに会えたからよかったと思ってる」
「レッドってシズクが言ってたジルチの好きな子か?」
「うん」
「僕がレッドです。ジルチのお父さん」
ピカチュウを肩に乗せたレッドが隣に来てお父さんに自己紹介をした。
「君が……そうか。ジルチを守ってくれてありがとう」
「まだまだ力不足ですよ」
「君はまだ、強くなれるよ。…ダイゴとミクリも頼んでいた2つを守ってくれてありがとう。ジルチが無事にここに来てくれた」
「どういたしまして」
「ジルチちゃんに会えたのは偶然な気もするけど、本当によかった」
事が落ち着いて私達は安心しているとラティアスが慌ただしくしていた。
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