水の都の巫女 | ナノ


09

 ラティアスは私の腕を引っ張って早く行こうと言ってきた。

「ラティアス!お父さんの身に何かあったの!?」

ラティアスは何度も頷いて私を背中に乗せた。

「おととっ…ラティアスがお父さんの所に案内してくれるって!」

「僕も行く!リザードン、ラティアスについて行くんだ!」

「ボクも行こう、何だか嫌な予感がするからね」

「私も水の都がどのようなものか気になるからついて行きたいが…生憎、手持ちに空を飛べる子がいなくてね」

「なら…カイリュー、ミクリさんを乗せて私達について来て!」

カイリューはミクリさんを背中に乗せてゆっくりと羽ばたいた。

「ぼく達は」

「トクサネにいてるヨ!また戻ってきてね!」

「わかった!ラティアス、案内をよろしく!!」

『しゅああん!』

ラティアスが空へ飛び立つと勢いよく南の方角へ飛んでいった。
途中で写真で見た事がある白い山が見えてきた。

「あの街…知ってる」

「私が住んでいるルネを知っているのかい?」

「はい、家族写真で白い街並みのものがあったので。あそこがルネ…か」

お父さんの件が落ち着いたら足を運んでみようと思いながら流れていく景色を眺めた。確か水の都は遥か南の方角にあるって手紙に書いてあったはず。しばらくラティアスがまっすぐ飛んでいると小さな島が見えてきた。

『ひゅあん!』

「あそこにお父さんが?」

ラティアスは頷くと一気に降下していき、島に着くと不思議な雰囲気が漂っていた。

「ありがとう、ラティアス。お疲れ様、カイリュー」

「…………なんだろうか……。不安や恐怖とは違うけれどなんだか……不安定…。夢や幻の中にいるような奇妙な感覚だ……」

「不思議な雰囲気はしてますけど奇妙な感覚はそんなしませんよ?」

「この島にいるラティオスが何かしているかもしれないね。彼はどこにいるんだい?」

『ひゅああんっ』

「奥?」

「行こう、ジルチ」

「うん!」

私達は早歩きで奥へ行くとポケモンとバトルしている音が聞こえてきた。

「誰かがバトルをしてる…?」

森を抜けるとそこには長い白髪の男3人組と3匹のアブソルと戦っているお父さんがいた。

「お父さん!!」

「ジルチ!?まずい、今は奴らから逃げるんだ!!」

「なっ!?」

「……ターゲット、確認」

3人組は私を見ると別のポケモンを出して私に近づいてきた。

「ライボルト、リーフィア!!蹴散らすよ!」

「…ゆけ」

ライボルトとリーフィアが駆け出したのと同時に私も走り出した。

「ジルチ、ラティアスと一緒に今は逃げるんだ!!」

「私は逃げない!お父さんだけ戦わせない!!ライボルト、10万ボルト!リーフィア、リーフブレード!」

「僕も加勢する!ピカチュウも10万ボルト!」

3匹のポケモンを足止めしつつ私は3人組の間を通り抜けて、アブソルと戦っているお父さんの元へ走った。


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