05
ポケナビのニュースでカントーからホウエン行きの旅客船が嵐に巻き込まれて1人行方不明になったと流れていた。
「ここからそう遠くない場所で嵐が…妙だな。こっちは晴れているというのに」
確かフウくんとランちゃんがその船に乗っていると聞いてたから少し心配になった。今のところ特に連絡がないって事は彼らは無事で何もなかったと思うけど…。
ポケナビのニュースを切って石磨きの続きをしようとしたら外のキャモメやホエルコ達がいつもより騒がしくしていた。
「嵐といい、外のポケモン達が騒がしいな…何かの前触れかな?」
ボクは磨こうとしていた石をテーブルに置いて、ポケモン達の声が騒がしい外へ出ると砂浜にポケモン達が集まっていた。
「砂浜に一体何が…ってあれは人かっ!?」
キャモメの群れを追い払っている1匹のポケモンとその後ろには女の子が倒れているのが見えた。
慌てて近づこうとしたら1匹のポケモン、リーフィアがボクに威嚇をしてきた。
「待ってくれリーフィア!ボクはそこに倒れているトレーナーを助けようと思って来たんだ。砂浜に倒れたままじゃ危ないから……」
話している最中だというのにリーフィアは攻撃をしかけてきたからとっさに腰にあったボールを投げた。
ボスゴドラがリーフィアの攻撃を受け止めたけど、かなり威力があるのかボスゴドラが押されていた。
「話を聞いてくれ!」
温厚な性格と言われているリーフィアが何故攻撃的になっているのか理由はわからないけど、このまま戦闘になってはいけない気がした。しばらく様子を見ているとリーフィアが両足の葉っぱを鋭くして、いつの間にかボスゴドラの真上に近づいてきていた。
「速い!?ボスゴドラ、交わすんだ!」
ボスゴドラは後ろへ飛び退けて攻撃を交わした。リーフィアの攻撃力が高いのかボスゴドラが立っていた砂浜に大穴ができた。当たっていたらかなりのダメージを受けていたに違いない…。
どうにかして説得しようと考えていると女の子の腰にあったボールからバクフーンが出てきた。水を避けつつ、バクフーンはうつ伏せに倒れている女の子を抱えるとボクが知っている子だと気づいた。
「あの子は確かクチバで会ったトレーナー!って事はそのバクフーンはあの時の!!」
リザードンと戦っていた光景を思い出した瞬間にリーフィアは激しく舞ってまた葉っぱを鋭くしていた。
「バクフーン!そのリーフィアを止めてくれ!!」
ボクの声を聞いたバクフーンが大声で吠えるとリーフィアは驚いて後ろを振り向いた。バクフーンはリーフィアに何か話すと鋭くしていた葉っぱを元に戻して女の子のそばに近寄った。
最悪な事態は免れたと思って、ボクはボスゴドラをボールに戻した。
1歩踏み出すとリーフィアはボクに警戒をしていた。
「大丈夫、君のトレーナーに危害を加えないよ。とりあえず砂浜にいるよりボクの家へ運ばないかい?海水で濡れているから風邪を引いてしまうよ」
バクフーンは頷いて気を失っている彼女を抱えた。リーフィアはボクに警戒をしつつ彼女を心配しているようだ。
家に戻ってバスタオルをベッドに座っているバクフーンに渡した。頭を丁寧に拭いて、彼女をバスタオルで包むと優しく抱きしめた。炎タイプの彼なら体を冷やさず温めれるだろうと思った。
そしてリーフィアはボクの向かい側にある椅子に座ってジッと見つめていた。
「…………」
『…………』
「……そんなに警戒しなくていいよ?」
『…フーッ』
優しく話しかけたつもりなのに威嚇されてショックだった。
そしてボクとリーフィアの睨み合いが始まった。
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