水の都の巫女 | ナノ


01

 私達はクチバ港からミナモシティ行きの船に乗った。
船には多くの観光客やトレーナーが乗っていて、私とレッドが元チャンピオンだと知っている人もいたから何度かバトルを挑まれた。
さっき双子のエスパータイプ使いの子にダブルバトルを挑まれて、その息の合ったコンビネーションに私達は翻弄されかけた。

「いろんな所でダブルバトルっぽい事はしてたけど、ああいうコンボがあるなんて知らなかったなぁ…」

「双子だから息もピッタリで手強かったね」

「バンギラスの特性で全員巻き込んだりしたからちょっと戦い方に悩んじゃった」

「あられなら慣れてるけどね」

「私の手持ちに特性ゆきふらしはいないよ?」

バンギラスでダブルバトルをするなら、すなあらしの影響を受けない子とじゃないと相性が悪いと思った。

「バクフーンににほんばれを覚えさせてリーフィアとコンビを組ませてみたいけどねー…」

バクフーンの使う炎タイプの威力は上がるし、リーフィアは特性の葉緑素で素早さ2倍になる。

「ダブルバトルならいいかもしれないね。ただ、入れ換える時に注意しないとシャワーズとライボルトが不利になるよ」

「そこで悩んでる!まぁ…バンギラスもそうだけどね」

レッドと技構成でいろいろ話ながらまたバトルをしているうちに、気温が上がって暑くなってきた。バトルで指示を出したり、あちこち動いて汗をかいたから部屋にある備え付けのシャワーを浴びに一旦部屋へ戻った。

「あー…大分南の方角に向かってるから気温が上がってきたね」

「そうだね。ミナモシティに到着するまで時間あるけどどうする?」

「んーバクフーンとリーフィアの組み合わせでダブルバトルをする相手を船内で探しに行くよ。レッドは?」

「僕もそうしようかな。晩御飯の時間になったらこの部屋に集合しよう」

「うん!荷物と他のボールを置いていくけど、ポケギアは持ち歩くから何かあったら連絡して」

「わかった。僕も連絡するから」

「それじゃ、またあとで!」

髪をリボンでまとめたあと、2匹のボールを持って船内で対戦相手を探し始めた。

 船内でラブラブカップルとのバトルが終わって少し歩いていると船が大きく揺れた。

「おっとっと…」

地下にいるから外の様子がわからない。波で揺れたのかなと思っていたけど、船員達が少し慌ただしくしていた。

「何かあったのかな?」

私も気になって船員の後を追いかけて地下から1階へ上がった時に、外は雨雲が広がっていて海が荒れている様子が窓から見えた。
すると船内のアナウンスから悪天候の為、外にいる人は船内に戻るようにと流れた。

「なるほど…急に天気が荒れたから……」

そのアナウンスが流れて大勢の乗客が部屋へ戻っていくのを見て、私も戻ろうと思った時にすれ違った船員から気になる事を言った。

「おい!船の甲板に1人の女の子が動けなくなってるらしいぞ!」

「こんな荒海になるなんて聞いてない!!何が起きてるんだ!」

マツバさんの言ってた「海には気をつけて」がこの事だとしたらと思うと私は船の甲板へ走り出した。

「その子を、助けなきゃ…!!」

甲板と船内に繋がる入り口に着くと、多くの船員がその女の子に必死に声をかけていた。女の子の様子が気になって窓から見るとダブルバトルを挑んできた双子の女の子だった。


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