水の都の巫女 | ナノ


27

 エンジュに着くとマツバさんとハヤトさんがエンジュジムの前で待っていた。

「待ってたよ、ジルチちゃん。中へ入ろうか」

ジムの控え室に入ると少しひんやりとしていた。

「さて、ジルチちゃん。ホウエンへ向かう水の巫女の君に伝える事は1つ」

「……」

「海には気をつけて」

「…海、ですか?」

これから船旅だから海に気をつけろと言われるとやや不安になった。

「そう、海だよ。海は全てを飲み込み、深海の闇へ引きずり込む。水の加護のある君なら大丈夫とは思うけどね」

チリンと腰にあるルギアから貰った鈴の音が響いた。

「……船旅ですが海には気をつけます」

「うん。レッド君はどんな事が起ころうとも我を失わない事だね。普段は冷静かもしれないけどジルチちゃんの事になったら落ち着かないでしょ?」

「そうですね」

「ハヤトも同じだけど1人で考えてもダメなら周りを頼るのもいいよ」

「何故、俺も含めたんだ…」

マツバさんが言いたい事はわかった、ホウエンの旅は一筋縄にはいかないみたい。

「さて、ジルチちゃんとレッド君。僕らとダブルバトルをしないかい?」

「ダブルバトルですか?」

「ハヤトも僕もチャンピオンになった君ともう1度バトルをしたくてね…どうかな?」

「私はいいですよ!レッドはどうする?」

「僕もいいよ」

「よしきた!じゃあ早速フィールドの方へ行こうか!」

相変わらず薄暗いフィールドだけど懐かしく思った。ゲンガーにさいみんじゅつをかけられた事は忘れない。

「1人1体でいこう。僕はゲンガーでいく!君らはどうする?」

「俺はピジョットだ」

「僕はピカチュウかな」

「じゃあ私は……リーフィアで」

それぞれポケモンを出して向き合った。

「そのリーフィアはあの時のイーブイだね」

「シャドーボールはソーラービームになったので安心してください」

「それはよかった。友人のブラッキーもシャドーボールを覚えていてね…イーブイ系統に少し警戒をしてるんだ。さぁ、始めようか!」

「ピジョット、かげぶんしん!」

「リーフィア、リーフブレード!」

「ピカチュウ、10万ボルト」

「ゲンガー、シャドーボール」

リーフィアはゲンガーに立ち向かって、ピカチュウはゲンガーのシャドーボールを打ち落としていた。かげぶんしんで増えたピジョットがリーフィアに襲いかかって、スピードとテクニック勝負になった。
そして…ジムリーダーvsチャンピオンのダブルバトルは激戦の末、私達の勝利で終わった。

「参ったよ。君達の息はピッタリだね」

「また強くなったな、ジルチ。いいバトルだった」

「ありがとうございます、とお疲れ様です」

「また落ち着いたら遊びにおいで」

「はい!」

「ジルチには何度も言ってるが…無茶はするなよ。レッド、ジルチを頼む」

「…リーグで僕が目を離してたらご飯を食べてなくて、寝ずに事務室に引きこもってましたよ」

「ジルチ!!」

「わっ!?レッド何でその事言うの!?」

「僕に黙ってそんな事してたから。全部ワタルから聞いたよ?」

「うっ……」

レッドにバレないようこっそり徹夜してた事がワタルさんによって全て筒抜けになっていた。

「はぁ……。とにかくホウエンの旅…気をつけるんだ」

「はい、ハヤトさんにでこぴんはされたくないので気をつけます…」

少し雑談をした後、2人にジムの外まで見送ってもらってミナモシティ行きの船が出るクチバ港へ向かった。


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