水の都の巫女 | ナノ


24

 翌朝、起きたら身動きが取れないと思ってたらレッドが背中から抱きついた状態で寝ていた。

「レッド…朝だよー」

そう言っても起きないのはわかっているからお腹辺りにあるレッドの腕を軽く叩いた。

「ほらー起きてー」

「んー…っ」

首元に顔を埋めてきたと思ったら首筋を舐められて変な声が出そうになった。

「ちょ…っと、レッド!ひゃっ!?」

首筋から移動して次は耳を甘噛みされたからつい、声が出てしまった。

「もぉーっ!レッド!!起きてーっ!!」

「ん、え?ジルチ…?」

耳元からレッドの寝ぼけた声が聞こえてきた。大声で叫んだから流石に起きたようだ。
やっと起きてホッとしているとレッドは欠伸をした。

「ジルチ。顔真っ赤だけど何が……」

「それは、レッドのせいっ!!」

「……夢で…ジルチが物凄く可愛かったからついイタズラしたけど…まさか」

「そのまさかだと思うけど?」

「んー…」

レッドは何か考えながら私を見つめた。

「……続き、する?」

「しない!!朝から何を言ってるのっ」

「冗談だよ。おはよう」

怒ってそっぽ向いてたら頬に口づけをされてぎゅーっと抱きしめられた。

「…おはよ」

「さ、朝御飯を食べにいこう?デザート買ってあげるから機嫌を直して?」

「本当に買ってくれるなら…いいよ?」

それから約束通りデザートでプリンを買ってもらって、食堂でご飯を食べていると定食プレートを持ったワタルさんがやって来た。

「相席いいか?」

「どうぞ?」

「今日からジルチが使う事務室を案内するから自由に使ってくれ。仮眠室にちゃんとベッドを2人分用意してあるから」

「ありがとうございます?(2人分…?)」

朝御飯を食べ終わってからワタルさんの案内で先に資料室へ来た。年代、地方別にファイルが分かれてて、調べたい所をピンポイントで見つける事ができた。レッドと一緒にその資料を持って、次は事務室を案内してもらった。

「歴代のチャンピオンが使い続けているから少し家具が古臭いかもしれんな」

「私的にはちょうどいいと思いますよ?…っと」

机の上に早速ファイルを何冊か置くと、そのファイルの上にワタルさんは分厚い書類を置いた。

「まず先にこの書類にリーグの判子とジルチのサインを書くんだ」

「……随分と量が多くないですか?」

「気のせいだ。数日後に資料届くみたいだからまた届けにくるよ」

ワタルさんは言う事を言って立ち去った。

「はぁ……まずはこの書類を片付けなきゃ」

「僕はどうしたらいい?」

「とりあえず…ホウエンで最近起きた事件と目撃のあったポケモンをリストアップしてほしい」

「わかった」

お互い作業を始めて数時間後、ようやくワタルさんに渡された書類を片付ける事ができた。そのあとレッドがリストアップしてくれた内容を見ながら紅茶を飲んでいた。

「………(カイオーガの騒動はこの間落ち着いたんだ)」

カイオーガの力で大規模な大雨が降ってホウエンが沈みかけたらしい。そんな中でもラティオス達の目撃情報がなく、お父さん的にこの騒動は動くほどでもなかったのかもしれない。
ふとホウエンのチャンピオンが誰なのか気になって、各地方のチャンピオンリストを見ると、クチバでラティオスの事を話してくれたダイゴさんだった。

「レッド、クチバで会ったダイゴさんって人覚えてる?」

「うん」

「その人、ホウエンのチャンピオンだよ」

「え、そうなんだ?」

理由は知らないけどホウエンのチャンピオンが、少し離れたカントー地方まで来てて大丈夫なのかと思ってしまった。

「ホウエンに行ったら会ってみようかな。何か知ってるかも」

「そうだね。……ワタルから渡される追加の資料をまとめたらホウエンへ行くの?」

「うん。それまでに今ある資料をまとめて、次に備えるよ」

「無理はしないでね?」

「大丈夫、心配しないで?定期的に休憩はするし、皆を出して身体動かすから」

「それならいいけど…」

まとめた資料の一部をホッチキスで止めたり、そのまま積み重ねているうちに、机の上に紙の山がいくつか出来てきた。


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