水の都の巫女 | ナノ


23

 そっちに何があるんだと思って、開けられた扉の向こうへ行くとクラッカーが引かれ、破裂する音が響いた。

「!?」

「よっ!ジルチ、お祝いパーティーするぜ!!」

「グ、グリーン!?」

「あ、グリーンだ」

「準備が早かったな。話題的に時間稼ぎが厳しかったよ」

「え?どういう……」

目の前にいるグリーンといい、後ろにいるワタルさんの発言で状況が飲み込めなくて、何がどうなってるか理解するのに時間がかかった。

「ジルチがワタルさんに勝ったらお祝いパーティーしようって決めてたんだ」

「そうなの!?」

「僕は聞いてないよ?」

「本当はヒビキを経由で伝えるつもりだったが、おめーがチャンピオンの部屋に行っちまったから伝えるタイミングを逃した!」

「あー……」

「だいたいレッドは―」

グリーンがレッドにあれこれと説教している間に部屋の真ん中の方へ行くとハヤトさん、マツバさんを見つけた。他にもウツギ博士や大勢の人がいていつの間に集合したんだろうと思った。

「ハヤトさん!マツバさん!」

「やぁ」

「ジルチ、ついにチャンピオンになったんだな」

「はい、でもずっとチャンピオンって訳じゃないですけどね」

「どういう意味だ?」

ハヤトさんが首をかしげると肩にいるポッポも同じ動作をした。

「…行くんでしょ?ホウエンに」

「ある程度の情報を集めたらですけどね」

「そういう事か。父親がホウエンにいるんだったな」

「はい。お父さんを1発殴る必要があるので」

グッと拳を見せるとハヤトさんは顔をひきつらせて目をそらした。

「もしホウエンに向かうのならその時エンジュに立ち寄ってくれると嬉しいな」

「…何か見えたのですか?」

私がそう言うとマツバさんは目を細めて微笑んだ。

「それはその時じゃないと、言えないよジルチちゃん」

「そうですか…」

一体何が見えたのか気になるけど、それはマツバさんのみぞ知るものだろうからそれ以上は聞かない事にした。それにその時になったら言ってくれるみたいだからその時でいいやと思った。

「ジルチ!これだけ大人数で盛大に祝ってんだから楽しめよっ!!」

「わかってる!グリーンありがとうっ」

「今からグレンジムリーダーのカツラさんによるビンゴクイズゲームをします!ビンゴカードを配ってますので受け取ってくださーい!」

コトネちゃんのアナウンスでゲーム開始宣言がされてヒビキ君、リーフちゃんにファイア君が皆にビンゴカードを配っていた。

「うおおーす!!ビンゴカードの用意はいいかーっ!」

「「おーっ!!」」

カツラさんが作り上げたクイズカードがランダムに選ばれて、トレーナーでも知ってるようで知らないクイズも混じってて面白かった。誰かがクイズに正解したらクイズカードに書かれた数字が公開するといった流れで会場は盛り上がった。

そのあと皆で晩御飯を食べて喋ったりとずっと盛り上がりながらパーティーは終わった。
一旦ワカバタウンへ帰ろうと思ったけど、まだ資料とか見ていないからしばらくリーグの控え室で泊まることにした。

「ふぅ……今日は凄い日だった……」

「そうだね。しばらくリーグ本部にいるの?」

「うん……資料まだ見てない、から…」

ベッドに倒れこんでから急に眠気が襲ってきた。思ってたより体力を消費して疲れているかもしれない。

「僕も手伝うよ?」

「うん、ありがとう…。………レッド」

「ん?」

「だい、すー……」

ジルチはそのまま寝落ちて心地良さそうにしていた。

「……僕も大好きだよ、ジルチ。おやすみ」

布団を被せてあげようとした時に僕も一緒に寝ようと思って、ジルチの隣に寝転がってから布団を被った。


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