水の都の巫女 | ナノ


22

 四天王の皆さんと一緒にイツキさんの部屋で昔の事を聞いたり、キョウさんの笑い方を真似して笑い合った。

「リーグ史上歴史に残るバトルだったよね。新チャンピオンさん、これからもよろしく」

「我々もだ。よろしく頼む」

「困った事があったら私に相談しなさいよ?」

「皆さんありがとうございます!長くはいないかもしれませんが、それまではよろしくお願いします!」

イツキさんの部屋を出るとコトネちゃんとヒビキ君が抱きついてきて驚いた。

「ジルチさん!リーグ制覇おめでとうございますぅうっ!!」

「あんな激しいバトル初めて見ましたよ!!おめでとうございますっ!」

「ありがとう、2人とも!あと、ちょっと苦しい…」

久しぶりの抱きしめで2人の身長が少し伸びてる事に気づいた。しばらく会ってないうちに成長したんだなと思った。
ふと、前を見るとソウルが何か言いたそうな顔をして私を睨んでいた。

「ジルチ」

「何?」

「……その座、オレが奪い取るから覚悟しろよ!!それまで誰にも取られるなっ」

ビシッと指をさしてソウルはそのまま早足でその場を去った。

「…ソウルなりのおめでとう、かな?取られるつもりはないけど長くはいないと思うよ」

受付にいたトレーナー達におめでとうと言われて、本当にリーグ制覇したんだって実感した。ジョーイさんに預けたボールを受け取って後ろを振り向くとワタルさんが仁王立ちで立っていた。

「ジルチ、ちょっといいか?」

「いいですけどどうしました?」

「バトルで疲れているかもしれないが今後の事で話がある。レッドも来てくれ」

「わかった」

「私もワタルさんに頼みたい事があるのでちょうどよかったです」

「じゃあセキエイ高原にある会議室に行こう」

外に出て少し歩くと、看板に"リーグ本部会議場"と書かれた建物が見えてきた。少人数向けの会議室に入って私達は席に座った。

「単刀直入に聞こう。ジルチ、いつまでリーグにいるつもりだ?」

「正確にいつまでとは言えませんが、私が知りたい情報をある程度集めたらお父さんのいるホウエンへ行きます」

「なるほど。で、その知りたい情報とはなんだ?ある程度の事ならリーグ本部に保管されている資料でわかるはずだが」

そういう物があるならそこで探すのもありかな、と思いつつ鞄に入れてた資料を出した。

「……これはラジオ搭でソウルから貰ったロケット団が所有してた私達家族に関する極秘資料です。そこに書かれている地方、組織、人物、片っ端から調べたいです」

「彼から…?」

極秘と書かれた資料を渡して、ワタルさんがパラパラとめくっているとだんだん顔が険しくなっていった。

「……随分と遠い地方だな。ここにあるのはカントー、ジョウトが中心で他の地方はあまりないんだ。そうなるとGメンの協力がいる」

「Gメン?」

「暴走して厄介な事をするポケモンやロケット団といった悪い組織の動向の監視、阻止をする組織だ。その地方の者から資料をまわしてもらうよう手配しておく」

「ありがとうございます」

「だからと言ってその組織に殴り込むような事をするなよ?ジルチの事だから突っ込む前にその組織に捕まりそうだ」

ロケット団の1件があるから私自身気をつけてはいるけど、いざその時になったら間違いなく殴り込みにいくと思う。

「うっ……殴り込まないようにします」

「レッドはそれを止めるようにしてくれよ?じゃないとまたジルチと戦うかもしれない」

「わかってる」

「で、ワタルさん。その資料ってどこにありますか?」

「明日書類渡すついでに案内する。今はこの話はここまでだ。続きはまた明日だ」

ワタルさんが立ち上がったから今日は解散と思っていると、ワタルさんが「こっちだ」と言って別の扉を開けようとしていた。

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