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次に繰り出されたリザードンとシャワーズははかいこうせんとハイドロポンプをお互いに当たって相討ちとなった。レッドのリザードンとはまた違う技の構成だったけど、ブラストバーンを覚えてなくてよかったと内心思っていた。
「リザードンとは戦い慣れているとはいえ、レッドとは違うだろ?」
「そうですね…至近距離ではかいこうせんを放つなんて予想もしなかったですよ」
「次は誰を出すつもりだ?俺はこいつでいく!」
ワタルさんが出したのは心地よく歌う綿雲のような体毛を持ったポケモン、チルタリスだった。
「昔に群れで空を飛んでるのを見た事があったっけ…。よしっ可愛いくてもふもふしたいけど、勝ったあとでもふもふさせてもらいます!いけっ!バンギラス!!」
「俺の所に来ればいつでも触らせてあげるが…?」
「ジルチ!チルタリスのもふもふよりピカチュウのほっぺやカビゴンのお腹の方がいいよ!!」
ワタルさんの誘いに対抗してレッドが後ろから叫んだ。そりゃ触り心地はピカチュウのほっぺやカビゴンのお腹の方が上かもしれないけど…。
「もふも…ごめん、バンギラス!バトルに集中するからっ!!」
チルタリスのもふもふを見ているとバンギラスに物凄く睨まれて、その目は俺達じゃダメなのかという訴えがあった。そして後ろから背中を突き刺すかのようなレッドとピカチュウの視線を感じる。
「ピカチュウのほっぺは世界一だから!!」
「やった!ピカチュウのほっぺは世界一だってさ!」
レッドとピカチュウの喜ぶ声が聞こえてくる。何故かその声を聞いて悔しそうにするワタルさんがチルタリスのもふもふの隙間から見えた。
「まさかチルタリスが負けるだなんて…!!」
「ちょっと!まだバトルはしてませんよ!?」
いつの間にかチルタリスvsピカチュウの対決になっていて、当のチルタリスは呆れた表情をしていた。
「ワタルさん、バンギラスとバトルしましょ…。チルタリスが呆れてますよ」
「む…?すまない、チルタリス。バンギラスにりゅうのいぶき」
「バンギラス、ストーンエッジで打ち消して!」
砂嵐を吹き出しながらストーンエッジの複数の岩がりゅうのいぶきを四散させた。
「さりげなく攻撃の指示を出してきたのなら…始めからそうしてください、よっ!ドラゴンクロー!!」
「少し息抜きをした方がいいかなと思ってね。かげぶんしん!」
バンギラスはかげぶんしんをしたチルタリスを片っ端からドラゴンクローで引き裂いていった。
「はかいこうせん!」
「しまった!!」
背後にいた本物のチルタリスがはかいこうせんを放って、バンギラスは派手に飛んでいった。
「バンギラス!大丈夫!?」
「はかいこうせんを背後から食らってそう簡単に立てるはずが…」
ない、と思っていたワタルさんはむくりと起き上がったバンギラスを見て驚いていた。
そして反動で動けないチルタリスを見たバンギラスは、大声で叫ぶとストーンエッジ2回分の量の岩を一気に発射した。
「よかった、バンギラス…!」
「凄い、怒りの猛攻撃だ」
「こんなストーンエッジ…今まで見た事がない!」
ストーンエッジの猛攻撃を受けたチルタリスは岩の下敷きになって目を回していた。
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