12
ついに四天王を倒してワタルさんが待つチャンピオンの部屋に入った。部屋は豪華な造りで"これぞチャンピオン"という印象だ。
「待っていたよ!ジルチ!」
「えぇ、お待たせしましたよ…ワタルさん!カントーのジム戦、なかなか戦い甲斐がありましたよ…っ!!」
「通常のジム戦だと君の実力なら簡単にここまで来る事はわかっていた。だからイブキに勝った時点で各ジムリーダーに連絡を入れといたのさ。グリーンは言わずともそのつもりだったからよかったよ」
「やってくれますね。でもいい感じに皆を育てる事ができたので好都合でしたよ。おかげで竜の祠で託されたミニリュウがカイリューに進化しました!」
「フッ流石…と言いたいところだが君なら当然の事だろう。さて、ここまで来たなら全力でジルチと戦おう。そして俺が勝った時は、君は俺の所に嫁いでフスベで一緒に暮らしてもらう!」
「……え?」
今さらっと聞き捨てならないセリフを聞いてしまった気がした。強制保護じゃなく…嫁入りとゆう予想外な発言だった。
「ジルチのお父さん、サフィラスから君を貰ってくれと言われているからな?」
「え、嘘でしょ!?」
「…と言うと思ったからサフィラスから貰ったメモがこれだ。文末に書いてあるだろ?」
確かにお父さんの字で文末に[もし君でよければ娘を貰ってくれて構わないから]と書かれていた。お父さんは私が知らない所で一体何勝手な事を言ってるんだと思った。
「そういう事だから…」
開いた口が閉じないままの私を余所にワタルさんが続きを話そうとしたら、私の後ろのにあったゲートが破壊されて凄まじい音がした。
「えっ!?」
「……来ると思っていたよ、レッド!」
「…………」
ピカチュウのほっぺがバチバチと電撃が走って殺気立っていた。レッドも無表情…いや、かなり怒っている表情だった。
「レ、レッド…?」
レッドは私の前に出てワタルさんから守るように立った。
「ジルチは渡さない!ワタル、僕とバトルだっ!!」
「ちょっとレッド!?」
「別にいいけどこれはジルチの戦いだろ?レッドが戦っていいのか?」
「そうだよ、レッド!怒るのはわかるけど私の戦いだからレッドは手を出さないで。絶対に勝つから…心配しないで?」
「そうだけど……」
私は必死にレッドを説得しながら、ワタルさんに勝ってホウエンへ行く、そしてお父さんを見つけて1発ぶん殴ると決めた。
「俺は何も言う事はない!」
「私にはある!」「僕にはある!」
「今はただどちらが強いか戦って決めるだけ!あとの事はそれからだ!最強のトレーナーとして、リーグチャンピオンとして、ドラゴン使いの ワタル。いざ参る!」
「必ず…勝つ!!いくよ!ライボルト!! 」
ライボルトはいつも以上にやる気が出て電撃を散らした。一方ワタルさんはボーマンダを出した。
「先手必勝!10万ボルト!!」
「ほぉ…フスベジムで見た時より格段と威力を上げたな!ボーマンダ、ドラゴンクロー!」
唸り声を上げてボーマンダは鋭い爪で切り裂いてきた。
「「かえんほうしゃ!!」」
かえんほうしゃが同時に放たれてフィールドを焼き焦がしていった。
「いいかえんほうしゃだな!」
「ありがとうございます、褒めても油断はしませんよ?ライボルト、じゅうでん!」
「そのコンボはさせない!シャドークロー!」
「遅い!!」
じゅうでんをしていたライボルトにシャドークロー襲いかかるも、ライボルトが一足早かったから避ける事ができた。
「逃したか…!」
「決める!かみなり!!」
「ボーマンダ!!」
ボーマンダにかみなりが当たると爆発音に近い音が響いてきた。身体を痺れさせてボーマンダは力尽きて倒れた。
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