怒りの進撃と凍りつくお茶の間(カントー地方後編12話)
―リーグ受付
ワタルの発言は受付でモニターを見ていたトレーナー達や隣に座っている2人が聞いた途端、衝撃的すぎて口を半開きにして黙っていた。
「ははは…まさかワタルさん、ジルチさんを嫁に貰うって……聞いてないですよ…」
「あのドラゴン使い…何を考えてやがる…」
「これ、全国に放送されてましたよね?」
「…………」
「レッド…さん?」
僕は立ち上がってピカチュウとゲートの前に立った。受付の人が顔を青ざめてその場から逃げていった。
「……ピカチュウ、ゲートの扉に向かってボルテッカーだ」
『ピッカッ!!!』
1人目の部屋の扉をボルテッカーで破壊した。
「……レッドさん、かなり怒ってる…」
「あの分厚い扉を1発で破壊していきやがった…」
受付中が騒がしくなったけど今はそんな事はどうでもいい。ワタルを倒すべく僕らはチャンピオンの部屋を目指した。
「いきなり扉が破壊されてビックリした!君は一体……あ!ちょっとそれ2人目の四天王の部屋……」
「ワタルの所まで行くよ、ピカチュウ」
『ピカァッ!!』
次々と扉を破壊していってる時に久しぶりにキョウとシバに会ったけど今は挨拶している場合じゃなかった。
受付の別モニターでレッドさんの乱入状況が映っていて大波乱の予感がした。
「ソウル、これ放送事故じゃない?」
「間違いなくな。何も言わずジルチと戦えばよかったものを……」
ピカチュウがチャンピオンの部屋の扉を破壊した所を見て、ソウルの言う通りだとつくづく思った。
―エンジュシティ・マツバの屋敷
ジルチがついにリーグ戦だという事でマツバの屋敷でその実況を見ていたらワタルさんの爆弾発言で飲んでいたお茶を吹き出してしまった。
「ゲッホッ!!ゲホッ!!」
「…ハヤト大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。ワタルさんは何を言って…!?」
「ビックリするよね。聞いた本人の方がビックリしてると思うけど」
「確かにそうだな……」
ジルチの動揺している姿がテレビに映っていた。
「……ジルチの嫁入り話は兄であるこの俺を通してから」
「マツバ、俺の自慢の鳥ポケモン達に頭をつつかれたいか?」
「それは遠慮するよ」
このバトルどうなるんだと思って見ているとレッドがチャンピオンの部屋に乱入して、事態が悪化していきそうな雰囲気が出ていた。
―トキワシティ・トキワジム
予想もしない展開に唖然としてカップに注いでいた珈琲を溢れこぼしていた。
「リーダー!?珈琲溢してますよ!?」
「………」
「グリーンさんしっかり!!」
「え?あ、あぁ…熱っ!!!」
しかも熱さを感じないくらい気が飛んでいた。オレでこんなに動揺しているからその場にいるジルチとレッドが大変だろうなと思いつつ溢した珈琲を片付けた。
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