水の都の巫女 | ナノ


16

 ポッポー ポッポー
朝陽が射し込んでポッポ達の鳴き声が聞こえてきた。

「え、もう朝!?」

昨夜ジルチにジョウトへ引っ越す事を言う決意をしたのはいいが、どう言い出せばいいか悩んでいるうちに夜が明けていた。
ガチャと扉が開く音がして慌てて振り向いた。

「!?」

「お母さーん!まだ寝てるのー?」

ジルチがまだ寝てると思っていた母を起こしにきた。

「い、いえまだ寝て…今起きたところよ!?」

目の下くまが出来ている状態で見苦しい嘘をついた。

「そうなの?朝ごはん、作ったよ!冷める前に食べよっ」

「あ、ありがとう」

今朝はジルチが作ってくれた目玉焼きトーストを食べながら母はどのタイミングで言うか考えていた。

「………(朝から言うのもなんだし夜に言うしかないわね…)」

「お母さん難しい顔してるけど、研究が進まないの?」

「えぇ……ちょっとオーキド博士に頼まれたポケモンの卵の研究が進まなくて困ってるの」

大体合ってるが今悩んでいる事とは違う事を言った。

「この間研究所に遊びに言ったときに、ジョウトで発見されたばかりだってオーキド博士が言ってた!お母さん大変だねー」

「そうなのよぉー……」

母は落胆する仕草をした。

「そうそう!今日レッドたちポケモンを捕まえに1番道路の近くに行くんだって!」

ジルチは気を遣って話題を変えた。

「でもわたしはラクライとバトルの特訓するの!」

「ジルチは仲間を増やさなくていいの?」

「うん!ラクライを少し育ててからにするの」

「レッドくんに負けたのが悔しかったのね」

この間のバトルからずっとラクライと一緒に野生のポケモンとバトルして鍛えていた。
初戦以来、覚える技も増えて戦い方が変わった。

「あれからラクライの動きが速くなったんだよ!」

「今度お母さんにラクライの戦ってるとこ見てみたいわ」

「いいよ!今度レッドたちとまたバトルするから見に来てっ」

「楽しみにしてるわ」

「うんっごちそうさま!じゃあ行ってきます!」

朝食を食べ終わったあと足元に置いてた鞄を持って家を飛び出した。

「私もごちそうさま。気をつけていってくるのよー!」

元気に外へ走っていったジルチを見送ったあと、いくつか資料を持ってオーキド博士の研究所へ向かった。


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