水の都の巫女 | ナノ


25

 走ってきたバンギラスに抱きしめられて一緒に勝利を喜んだ。

「あははっ!よく頑張ったね!バンギラス!!」

背骨の関節がバキバキと音が鳴ってて少し痛いけど、それ以上に嬉しかった。ベルトに付いてる皆のボールもカタカタと揺れて喜んでいるのがわかる。

「あのヨーギラスがここまで成長したとは…参ったぜ。…………ほら、グリーンバッジだ。ジルチにやるよ!」

「ありがとっ!!」

私はバンギラスに抱きしめられながらグリーンからグリーンバッジを受け取った。

「バッチだけじゃねえ。こいつもジルチにやらぁ!」

「あいたっ!」

グリーンは私の額に技マシンのディスクを軽く叩きつけた。

「技マシン92のトリックルーム。バトルで体験したトリッキーな技だぜ。使う機会があるかは別だ。オレ様にジム戦で勝った記念に受け取りな!」

「大切にするねっ」

「おうよ!」

充分抱きしめて満足しているバンギラスをボールに戻して、バッチと技マシンをそれぞれのケースに入れた。

「これで…カントー制覇!」

「ついにリーグ戦だね。すぐ向かう?」

「打倒ワタルさん!って行きたいところだけど今日は一休みしよう。作戦も考えなきゃいけないからね」

「だったらよ、今日オレん家に泊まらねぇか?」

「それいいね!昔にお泊まり会したの覚えてる?」

「覚えてるぜ」

「ジルチの隣に誰が寝るかで喧嘩したよね」

ちょうど夏ぐらいにグリーンの家で泊まって、バトルしたりポケモンの話で盛り上がっていた。その夜に寝る場所の話で喧嘩になった事がある。結局私が2人に挟まれる感じで寝るという事で落ち着いた。

「夜遅くに枕投げが始まってナナミさんに怒られたよねー」

「あの時の姉ちゃんマジで怖かったぜ…」

「ゴルバットも顔真っ青になると思う」

「レッド、それは言うな」

しばらくジムで雑談をしてると外は真っ暗になっていた。

「よーし、走ってマサラに帰ろうぜ!ビリは皿洗いな!」

「それはグリーンの担当かな?」

「負ける気はしないよ!」

「何だと!あ、ジルチは飛ぶの禁止だぜ?翼しまえよ?」

「あ、バレてた?」

走る…飛ぶ準備をしていたらグリーンにバレてしまった。

「ジルチにハンデをつける?」

「レッド!?」

「ジム戦で勝利したからハンデをつけねぇとな!」

「それとこれは話が違うよ!?」

「じゃあジルチはトキワジムからで僕らは1番道路の手前からにしよっか」

「ハンデキツすぎ!!」

「レッド、変にハンデありぎると負けた時みっともねぇぞ!?ジルチの奴やる気満々で準備運動してるし!」

「…負けなければ問題ないよ?」

3人で話し合った結果、私がトキワジムからで2人はフレンドリィショップからスタートする事になった。
軽く準備運動しているとリーフィアのボールがカタカタと揺れてたから出してあげた。

「ジム戦お疲れ様。リーフィアも一緒に走る?レッドとグリーンでマサラタウンまで競争するの!」

疲れているかなと思っていたけどボールの中で充分休憩をしたようだ。リーフィアは身体を軽く伸ばしていつでも走り出せるような体勢になった。

「ジルチ、準備はいいかーっ?」

「大丈夫ー!」

フレンドリィショップの隣にいる2人に手を振った。レッドの肩からピカチュウが降りて、レッドの合図で競争がスタートする。

「よー…い」

「「ドンッ!!」」

ジムの前にある段差を飛び越えて、着地した時の体勢から低くしたまま、1番道路の手前にいる2人の後を追いかけた。
グリーンの叫び声がトキワシティに緑の葉と一緒に舞った。


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