水の都の巫女 | ナノ


09

 ハナダの洞窟に入って歩いてる時に入口の男性が言ってた事が気になった。

「そういえば陥落させたって何したの?」

「ちょっとお互いに暴れすぎちゃって…2日ぐらい洞窟から出れなくなった」

「えぇ!?」

「今回はジルチもいるからそんな事しないよ?」

「されたら困るよ…!」

レッドの案内されてから数時間くらい洞窟内を歩いていると最深部に着いた。さっきまで歩いていた洞窟より雰囲気が違った。

「ミュウツー、久しぶり。僕だよ」

『その声は…レッドか』

奥の岩場から人の形に近い薄紫色のポケモンが現れた。

『久しぶりだな。またワタシと戦いにきたのか?前は洞窟が陥落して中断してしまったからな』

「続きをしたいところだけどまた陥落させたら怒られちゃうし、今日は戦いにきたんじゃなくてミュウツーに紹介したい子がいるんだ」

『紹介したい子、だと?』

レッドが手を引っ張ったので少しミュウツーに近づいた。
近づいてわかったのがかなりの力を持ったポケモンという事とルギアと対面した時と同じような威圧感で動けなくなった。

「警戒しなくていいよ?」

「いや、それはわかってるけど…」

「………」

「ミュウツーも警戒しないで?この子はジルチ。僕の彼女」

ミュウツーに軽く会釈をしたけど何も言わずにじっと睨まれた。

『…小娘、何者だ?人間とは違う気配がする』

「それは…人とポケモンの血を半分ずつ引いてるから、だよ」

『ほぉ……?』

ミュウツーは私に興味を持ったのかさっきまで出していた威圧感が消え、ふわふわと浮いて近づいてきた。

『愚かな人間によって作られた…訳ではなさそうだな。先祖代々から受け継がれてきた血筋、そんな気配がするな?』

「そこまでわかるんだ…!!」

『フン……』

「やっぱりミュウツーにはわかるんだね。それでミュウツーに聞きたい事があるんだ」

『何だ?』

「ジルチの右目、今は金色だけど元は左目と同じ緑色だったんだ。元に戻す方法を何か知ってない?」

「レッド…」

レッドも私の右目の色が戻らない事をずっと気にしてた。あと右目だけじゃなく、能力の力加減も若干出来ていない。
ミュウツーは腕を組ながら私の目をじっと見た。

『…技が使えるのか』

「うん、軽くね」

『自身でもわかりにくい事だが、体内にはオーラのようなエネルギーの流れがある。今の小娘…ジルチといったか?ジルチのエネルギーの流れに乱れがある』

「乱れ?」

『ワタシの推測だが…使える技、能力の限界を越えるような事をして力尽きたとみた』

「…………」

言われた事が図星で私が何も言えず黙っているとミュウツーは目を伏せた。

『……エネルギーの流れを元に戻せば目の色も戻るはずだ。目の色だけでなく、能力のコントロールもだ。ワタシが言える事はそれぐらいだ』

「そっか………ありがとう、ミュウツー」

『礼を言われるほどではない。…ジルチもレッドと同じでいい目をしているな、悪くない』

「ありがとう?」

どういう意味で悪くないのかわからないけどレッドと同じならいい意味だろうと思った。


prev / next

[ 目次に戻る ]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -