01
リザードンに乗って数時間後、マサラタウンに到着した。引っ越す前と何も変わってなくて、ワカバタウンに帰った時よりも懐かしい気持ちでいっぱいになった。
オーキド博士に言われた通り、私達は先にレッドの家に向かった。
「…………」
「レッド…どうしたの?」
荷物を持ったまま家の前で立ち止まっていた。心なしかレッドの顔が強ばってるような気がする。
「いや、ちょっと緊張する…」
「レッドが緊張してどうするの…」
2人揃って家の前で立ち止まってて端から見たら不審者に間違えられそうだ。私達が家の扉とにらめっこしていると扉が開いた。
「「!!」」
「レッド…?」
「か、母さん、久し…ぶり」
ぎこちなく話す姿を見たレッドのお母さんは少し涙目になりながらも「おかえりなさい」と言った。
「久しぶりって言うけど3年ぶりよ?旅立ってから連絡1つもなかったから心配したのよ?」
「ごめん、なさい。でもジョウトでジルチに会えた!」
レッドは説教コースを脱線させる為に話題を変えた。
「レッドの隣にいるのジルチちゃん!?随分と大きく…美人になっちゃって!!」
「び…!?」
レッドのお母さんにいきなり美人と言われて、びっくりしてるうちに話が進んでいく。
「レッド!ちゃんと告白したの!?ジルチちゃん誰にも取られてないっ!?」
「え、ちょ」
「大丈夫!2度告白したしジルチは僕の彼女だから!」
「よかったわぁー!今晩は御馳走にしなくちゃね!!早く中に入って!お茶とお菓子用意するからっ」
レッドのお母さんは上機嫌で家の中に戻っていった。
「…中へ入ろっか」
「そうだね。まぁ予想通りな反応だったね。私に対しては予想外だったけど」
「そうかな?」
レッドの家にあがって、荷物を置くために2階の部屋へ行った。荷物を床に置きながらレッドが旅立つ少し前の話を聞いた。
「母さんには旅立つ前にジルチのこと話してたからね。いつ告白するかやたら聞かれたよ…」
「それであの反応だったんだ…」
「だと思う。さてと下に降りて…母さんに何から話そう」
「とりあえずレッドの旅の事でいいじゃないかな?」
「んーそうかな?」
「そうだよ。私もレッドの旅の話をもっと聞きたいからね」
エンジュのお菓子の袋を持って下に降りるとテーブルにクッキーと紅茶が用意されていた。
「ジルチちゃんはミルクティーでよかった?」
「はい!これエンジュのお菓子です!よかったら食べてください」
「まぁ、ありがとう!抹茶ラスクに抹茶のパウンドケーキ…それと羊羮、どれも美味しそう!」
さすがマツバさんとハヤトさんが選んだお菓子だ。羊羮はオーキド博士の所へ持っていこうと思って今回は抹茶ラスクを食べる事にした。パウンドケーキはナナミさんに渡そう。
私達が3年間、何をしてどうしてたかを話しているうちに日が沈んでいた。
晩御飯を用意するから2階で待つよう言われて1時間後……
「久しぶりにたくさん作ったわ!たくさん食べてちょうだい!!」
「「いただきます!」」
レッドのお母さんの言ってた通り、晩御飯がメニューが豊富で御馳走だった。
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