水の都の巫女 | ナノ


33

 オーキド博士との通話を終えてそろそろ寝ることにした。自分の部屋に帰ってくるのはジョウトとカントー制覇してからだと思っていたから少し妙な気持ちだった。
ドアノブを回して部屋の中へ入ると旅立つ時と全く変わっていなかったけど懐かしい感じがした。

「ここがジルチの部屋か…思ってたよりさっぱりしてるね」

「まぁほとんど研究の手伝いとかバトルの事ばかり勉強してたからこれといった物は置いてないよ」

鞄とベルト、髪飾りとリボンを机の上に置いてベッドに座った。リーフィアは食後に眠たそうにしてたからボールに戻してあげた。

「荷物は椅子に置いていいよ?」

「ありがとう。…この写真、懐かしいね。僕も机の上に置いてる。あとの2枚は……ジルチの両親?」

レッドは机に置いてた写真立てを見て言った。

「うん、旅立つ前にお母さんの机の引き出しにあったの。家族写真はその2枚しかなくて………」

そう、2枚しかない。お父さんがまだホウエンにいるか怪しいけど会いたいし、話したいこともいっぱいある。いろいろ考えていると少し泣きそうになった。

「ジルチ…。そうだ、カントーに行く前にここの皆と写真を撮ろうよ」

「写真?」

「うん。血の繋がりとか関係なしにジルチにお帰りって言ってくれる人達、ここの皆がジルチの家族じゃないかなって」

「あはは!それ大家族になるよね?」

「うん、そうだね。どうかな?」

「いいねっ!…ありがとう、レッド」

レッドの気遣いで若干涙目になってるかもしれないと思っているとレッドに頭を撫でられた。

「…………かな」

「ん?」

レッドが小声で何か言ってたけど聞き取れなかった。

「何でもないよ」

「むぅ…。あ、この花の指輪どうする?ドライフラワーにして飾る?」

左手薬指につけた白い花の指輪。小さい頃をたくさん作ったなーと思い出した。ドアに飾ってあるセレビィからもらった花の冠もドライフラワーにして、綺麗なままで今も健在だ。

「そうしよっか」

2つの指輪を紐で窓辺に吊るしておいた。花が小さいからすぐ乾燥すると思う。

「これで、よしっと。そろそろ寝よ…あ、レッドの分の布団用意するからちょっと待ってて」

「ジルチ」

予備の布団はお母さんのとこにあるからそれを使おうと思って部屋を出ようとしたらレッドに手を掴まれた。

「ベッドで一緒に寝よ?」

「へっ!?いや、ちょっ…えぇ!?」

隣で寝ることはシロガネ山で経験してるけど、ベッドで一緒に寝る事なると落ちないようにお互い密着することになる。恋人同士とはいえ恥ずかしいものは恥ずかしい。

「嫌?」

「嫌とかそうゆう事じゃなくて…!!」

「そんな顔真っ赤にして恥ずかしがらなくても…リザードンに乗ってる時だってくっついてるじゃないか」

「そ、そうだけど…!!」

「だったら…」

「!!」

レッドに手を引っ張られてそのまま抱きしめられた。

「一緒に寝よ?」

「…うん」

そのあとどっちが先にベッドに入るかをずっと話していたから寝るまで時間がかかったとゆう。


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