水の都の巫女 | ナノ


32

 ヒビキ君とコトネちゃん、研究員の人とウツギ博士の奥さんに息子さんも一緒に晩御飯を食べていたから食事がかなり盛り上がった。三聖獣、ホウオウ、ルギアに会ったり、アルフの遺跡の調査に協力した、ワタルさんの挑戦状、ロケット団解散と話すこと、聞かれることが山のようにあった。
晩御飯を食べ終わると、その場で皆と解散した。

「ジルチさん!カントーへ行くときも見送るので先に行かないでくださいよー!」

「わかってるから安心してー!」

ヒビキ君達を玄関先で見送ってから研究所へ入った。すると本棚に資料を戻していた研究員の人が思い出したかのように話し出した。

「ジルチちゃん!ちょっと聞いてくださいよ!」

「ん?どうしました?」

「博士のポケモンを盗んでいった犯人がなんと!なんと!ここに返しに来たんですよ!」

「ソウルが!?」

「まさか戻ってくるなんて驚き!ですよねー」

まさかソウルが盗んだポケモンを返しに来たのは驚いた。レッドはその事を知らないから2つの意味で驚いていた。

「それっていつの話ですか!?」

「んーラジオ塔がロケット団に占拠される3日ぐらい前かな?」

随分最近の出来事だった。3日前って事はまだシロガネ山に籠っていた時期だ。

「でもウツギ博士は犯人にこう言ったんです。見たところそのポケモンはすっかり君になついている。ポケモンにとって一番幸せなのは好きな人のそばに居られる事だったら、そのポケモンは君と一緒にいるべきだ。と言ったんです!」

最後にバトルしたのはかなり前だからどんな関係になっているか知らなかったけど、どうやらソウルがポケモンの事を考えてあげるようになったみたいだ。そしてウツギ博士はソウルの事を許して正式にポケモンを託したそうだ。

「どーですか!泣けるでしょー!?」

「ウツギ博士らしいですね」

「犯人…いや、赤髪の少年は何も言わずにポケモンを連れて出ていきました。でも…私はここでしっかり見ましたよ。少年の横顔がとても幸せそうだったのを!」

「!!」

それは大きな変化だった。もしかしたらラジオ塔で会った彼は今までの行いを謝罪の意味を込めて私にあの資料を渡してきたのかもしれない。今度会ったらちゃんと向き合ってバトルしたいと思った。

「ジルチちゃん!オーキド博士から連絡来てるよ!」

「今行きます!レッドも行こっ」

「明日マサラタウンに帰るって言っておこっか」

「うん!」

研究所の奥のパソコンがある所に行くと画面にはオーキド博士と研究員が映っていた。

[ジルチちゃん久しぶりじゃの!おぉレッドもいるのか!!]
[わぁ!ジルチちゃんとレッド君大きくなってる!]

「皆さん、お久しぶりです」

「オーキド博士、明日マサラタウンに帰って研究所に寄ります」

[そうか!レッド、研究所へ来る前に家に帰るんじゃぞ?お母さんに連絡してないそうじゃないか!]
[レッド君リーグ制覇した事をお母さんに連絡してないの!?ダメじゃない!!]

「ご、ごめん」

オーキド博士達は予想通りな反応だった。これはレッドの家に帰った時のお母さんの反応がなんとなく想像がつく、と思いながら近状報告をした。


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