水の都の巫女 | ナノ


29

 コガネを出てイーブイにウバメの森の景色を見せようと思ってボールから出した。レッドのピカチュウと一緒に連れ歩いて、ウバメの森の祠の前に来た。

「オボンの実2つとヒメリの実2、モモンの実4つ…結構お供えしたね 」

「そりゃ2人分だからこの量になるよ」

祠に6この木の実をお供えして、森を抜けてヒワダタウンのガンテツさんに会いに行こうと歩き出した途端、森全体に鈴のような音が響いてきた。

ーリィー……ン  リィーン

「ジルチの腰の鈴…ではないね」

「うん、でも一体どこから…」

音の正体を探るべく辺りを見渡していると突風が吹き荒れて目をつぶった。

「うわっ!?」「っ!!」

しばらく目をつぶって俯いていると突風が収まり、周りが静かになったから目を開けると木漏れ日のさす綺麗な森で鬱蒼としたウバメの森ではなかった。

「ここ、どこ?」

「わからない…。はっイーブイ達は!?」

慌てて後ろを見るとイーブイとピカチュウは1匹のポケモンと一緒に戯れていた。

「あのポケモンは…!」

小さい頃に会った薄緑色の小さな羽の生えたポケモン、セレビィの姿があった。セレビィは私に気づいて近づいてきた。

「久しぶりっセレビィ!10年?ぶりだね!!」

セレビィは私の事を覚えていて嬉しそうに飛び回った。

「ところでここはどこ?」

『100年くらい前のウバメの森だよ!』

「ひゃ!?」

「どうやって100年前に?」

『時渡りの力さ!ジルチはともかく君はテレパシーで話しかけてもビックリしないんだね?』

確かにそうだ。私はスイクン、ホウオウ、ルギア達に話しかけられても驚きもせず普通に話してたけど、レッドはポケモンに話しかけられるのは初めてのはず。ハヤトさんみたいに驚かなかったのが意外だった。

「慣れてるからね」

「(慣れてる…?)それで何で私達を時渡りで100年前のウバメの森に連れてきたの?」

『お供えしてくれた木の実のお礼と君のイーブイがこの森を気に入ってるようだから100年前の森見せてあげようと思って連れてきたんだ!綺麗な森でしょ?!』

「そうだね。100年前は木々が鬱蒼としてなかったのね。イーブイに綺麗な森を見せてくれてありがとう!」

『どういたしまして!少しの間この森を楽しんでねっ』

セレビィはくるくると飛び回りながらピカチュウとイーブイの所に戻って遊びだした。

「空気が澄んでてポケモンが気に入るような環境だね」

「うん。お昼寝したら気持ち良さそう」

「昼寝する?」

「んーそれはちょっと勿体ないからマサラタウンに戻った時にオーキド博士の庭で昼寝するよ」

レッドの言う通り空気が澄んでて気持ちがいい。背伸びする時に空気を吸うと心がすっきりしてくる。
周りを見ていると100年後にはない苔が生えた岩が祠の近くにあった。

「見たことがない綺麗な苔が生えた岩だね…」

気になって苔に触ると、少しひんやりしていて湿り気があった。足元にもっふりとした感覚があると思って下を見るとイーブイが擦りよってきていた。

「イーブイ、綺麗な苔が生えた岩だよ。触ると少し冷たくて湿ってる」

苔が生えた岩のことを話すとイーブイはその岩の上に上った。心地いい風が吹いてその岩の上で背伸びをすると、イーブイの身体が光輝きだした。

「イーブイ!?」

突然の進化の状況になって、セレビィとピカチュウも近づいてきた。
イーブイの体は大きくなっていき、光が収まると体はクリーム色に変わり、首周りのもっふりとした毛が無くなってすっきりとした体型になっていた。体の所々から草が生えて、耳や尻尾が緑色の葉っぱのような特徴のあるものだった。

『リィイーッ!!』

「イーブイが……進化した!!」

「進化の条件は…この岩の苔なんかな?」

『リーフィアに進化おめでとう!ボク、嬉しい!連れてきた甲斐があった!!』

「リーフィアって名前なのね!この場所が自分の進化したい所だったんだ…!!ふふっ旅しててよかったね、リーフィア!」

『リー!』

リーフィアは岩から私に飛び込んできたから受けとめて抱きしめた。体のもっふりは変わらないけど尻尾や耳の緑色の部分は葉っぱのような触り心地だった。あとリーフィアの周りがもっと澄んだ空気だった。


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