水の都の巫女 | ナノ


11

 ピカチュウのほっぺを存分に堪能して時間はちょうど正午ぐらいになって、ぼくらはお昼ご飯を食べることにした。

「ピカチュウたちにはこのきのみをあげる」

ジルチの手には桃色のきのみが2つあって、ピカチュウたちは受け取って嬉しそうに食べ始めた。

「ぼくらも食べよう」

「うん!弁当箱の中身が気になるからねーっ」

ジルチはぼくが弁当箱を包みから出すのをずっと眺めていた 。
ふたを開けるとおにぎりが複数と玉子焼きが入ってた、すごく美味しそう。

「わぁ!美味しそう!」

「うん、ぼくもそう思う。それじゃ…」

「「いただきまーす」」

ぼくは初めにおにぎりを食べた。中には梅干しが入ってて酸っぱかったけど美味しい。
ジルチもおにぎりを食べてて同じく中身は梅干しだったようで酸っぱそうな顔をしていた。

「ふぉ〜…すっぱい…っ!でも美味しい…!!」

「ありがとう、母さんに言っておく。すごく酸っぱそうな顔してるけど大丈夫?」

ピカチュウたちはジルチの顔を見て首を傾げていた。

「うん、大丈夫っ!レッドくんは平気なの?」

ジルチは少し涙目になりつつ次は玉子焼きを食べようとしていた。

「まぁ…少しは」

ぼくもこの酸っぱさはあまり慣れていない、なぜ梅干しを入れたんだ母さん。

「むまっ!この玉子焼き美味しい!ほんのり甘いっ」

玉子焼きも好評だった。確かに母さんの作る玉子焼きは少し甘い。梅干しの他におかか、プチトマトが入ってて面白かった。
そして弁当箱が空になったあとジルチの持ってきたクッキーを食べていた。
甘さは少し控えめでサクサクしていた。

「味、どうかな?」

ジルチが少し不安そうに聞いてきた。

「うん、美味しいよ。甘さがちょうどいい」

「よかった!」

ぼくの感想を聞いてパッと明るい顔になった。
ジルチのこう表情がころころ変わるのを見る好き。ぼくもつられて笑顔になった。

「「ごちそうさまでした」」

母さんの分のクッキーを別に分けて弁当箱と一緒に包んだ。

「お腹いっぱい!ちょっとゆっくりしよっとー…」

ジルチはその場で寝転んだあとピカチュウたちもジルチの傍で寝転がった。

「ぼくも寝転がるかな」

ぼくも真似してその場で寝転がった草が柔らかくて痛くない、隣の大きな木が影になって眩しくないし風が心地いい。

「すー…すぅ…」

「ん?ジルチ…?」

静かだと思っていたらジルチは眠っていた。
起こすのも悪いと思って、着ていた上着をそっとかけてジルチの寝顔を見た。
可愛いなって思ってジルチの頭を撫でた。

「ぼくは、ジルチの事が好きだ」

ぽつりとぼくの想いを呟いた。


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