水の都の巫女 | ナノ


22

 エンジュシティに着くとマツバさんとハヤトさんが焼けた塔の近くで待ち構えていた。

「もしかしてエンジュに来るの知ってましたね?」

「まぁね。久しぶりだね、ジルチちゃん」

「お久しぶりです」

マツバさんの隣にいるハヤトさんを恐る恐る見ると目を閉じて腕を組んでいた。

(かなり怒ってる…!!)

「ハヤトさんも…お久しぶり、です」

「あぁ、そうだな…」

組んでいた腕をといて近づいてきたと思ったら強烈なでこぴんをされた。

「いっ…!!」

「あれほど無茶するなと言ったのに…。でも無事でよかった。ジョウト制覇おめでとう」

「ありがとうございます。それとごめんなさい…。でこぴん痛いです」

「2発目されたくなかったら気をつけるんだな」

「これはジルチが悪いね」

「そうだけど……」

あいたた…とおでこを撫でてるとマツバさんからお菓子の袋を渡された。

「これからカントーへ行くんでしょ?これは僕らからの餞別。カントー制覇とリーグ頑張って」

「マツバさん…ありがとうございます!それとリンゴ、美味しかったですよ」

「無事に届いたみたいでよかった。あのリンゴはハヤトが選んだものなんだよ」

「そうだったのですか!」

そのあと以前行ったお茶屋さんで軽く食べて雑談していると私のポケギアが鳴り響いた。

「ごめんなさい…ん?ウツギ博士からだ?」

「ジルチちゃん、出ていいよ」

「はい。……もしもし?」

[ジルチちゃん、最近調子はどう?]

「8つ目のバッチを手に入れて今エンジュにいます。全然連絡してなくてすみません…!!いきなり電話だなんて…どうかしました?」

[いやね、何だかラジオ放送がおかしいからね、気になって電話したんだ]

「ラジオが?」

ラジオ放送がおかしいってどうゆう事だろうかと思いつつ、レッドにポケギアでラジオを聞いてみてと小声で伝えた。

[うん、ラジオを聴くとロケット団が……とか言ってるんだよね。ジルチちゃん、何か知らない?]

「ロケット団!?」

私がロケット団と言ったのと同時にラジオから妙なBGMと共に男の声が聞こえた。

[……あー、あー、我々は泣く子も黙るロケット団!組織の立て直しを進めた3年間の努力が実り、今ここにロケット団の復活を宣言するー!サカキ様ー!聞こえますかー?……ついにやりましたよー!ボスは何処にいるんだろう……?この放送聴いてるかなあ……………]

ミシッ
隣に座っているレッドがポケギアを握り潰しかけていた。

[君の事だから今からラジオ塔に行くのはわかってる。だから…気をつけて]

「はい、ロケット団を潰しに行ってきます。そのあと寄り道しながら研究所に戻ります」

ポケギアをポケットに入れて私達は立ち上がった。

「…行くんだね」

「はい、ロケット団と決着つけに行きます」

「ジルチ」

「わかってますよ。"無茶するな"ですね」

ハヤトさんは黙って頷いた。

「レッド、コガネのラジオ塔に行こう」

「うん、正面突破で奴らを蹴散らそう。今度こそ復活できないようにしてやる」

そして「ロケット団絶対潰す」と声揃えて言った。

「2人とも殺気が凄いね……。気をつけてね」

「何だか締まりのない挨拶になってしまいましたが…またエンジュとキキョウに来ますね!」

「うん、今度は祭りがある時に来なよ。彼に浴衣姿を見せてあげないとね」

「そうですね!では、ご馳走さまと行ってきます!」

「ジルチがお世話になりましたっ。ご馳走さまです!」

2人に頭を下げて一緒にお店を出た。
リザードンに飛び乗って全速力でコガネシティへ向かった。


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