水の都の巫女 | ナノ


20

 祠があるのは知っていたけど中には入ったことがなかった。扉を軽く叩くと中から入室許可をもらった。

「ふむ……よく来たのう」

祠の中は薄暗く蝋燭が何本かあるだけだった。

「なぁに心配するでない。何も言わなくてもわかっておる!イブキの奴に言われてここまで来たのじゃろ?」

「はい」

「あの娘にも困ったものよ……。まぁお主には申し訳ないが少しばかり試させてもらうぞ」

「何をすればいいですか?」

「儂の質問に答えてもらうだけじゃよ。では、いくぞ」

長老は咳払いをして質問を出した。

「お主とってポケモンはどのような存在なのかな?」

「友達であり家族ですね」

「ポケモン勝負で勝つ為に必要な事とは何かな?」

「火力と戦略」

「どんなポケモントレーナーと戦ってみたいと思う?」

「いろんなトレーナー」

「ポケモンを育てるのに一番大事な事はなんじゃ?」

「愛情と信頼」

「強いポケモンと弱いポケモン。どっちのほうが大事なのかのう?」

「強い弱い関係なしにポケモンは大事ですよ」

一通り答えると長老は黙って私を見た。

「……お主はポケモンをとても大事にしているようじゃな」

「もちろんです」

「感心感心!その心が大切じゃ!ジルチよ、その気持ちを忘れるではないぞ。その気持ちを忘れなければカントー制覇して、ポケモンリーグへ行っても充分通用するじゃろう!お主の事を認めよう」

「はいっ!ありがとうございます!」

長老に認められたと喜んでいると後ろの扉が開いて、ジムにいた3人が入ってきた。

「結果はどうかしら?聞くまでもないと思うけど……貴女では無理だったでしょう?」

「…認められましたよ」

「え!合格?そんな!嘘でしょ!わっ私だってまだ認めてもらってないのに!」

イブキさんが合格したのを聞いて動揺するのはわかるけどそんな事で嘘をつくほど私は馬鹿じゃない。

「誰が嘘を…」

「こりゃイブキ!この者、技も心も見事なものじゃ。観念してさっさとライジングバッジを渡さんか!ワタルが目の前にいるとゆうのになんて情けないことを!!」

「っ!わっわかりましたわ……。さあこれがライジングバッジよ…。さっさと受け取りなさい!」

「………」

私は無言でライジングバッチを受け取ってすぐにケースにしまった。

「イブキよ…お前になくて、この者にあるもの……。それが何かをよく考える事じゃ」

「………………」

イブキさんは何も言わず早足で祠を出ていった。

「イブキの事を悪く思わないでくれ。彼女も君の実力を認めているからね。それとジョウト制覇おめでとう」

「とても認めてるようには見えませんがね…。これで条件通り、カントーの旅に行きますね!」

「あぁ構わないさ。それじゃ、俺はリーグに戻るとするよ。君がすぐにやって来ると思うからね」

「ふふっ楽しみに待っててくださいよ?」

ワタルさんはマントを翻して祠を出ていった。ドラゴン使いはみんなマントを着用してるけど習慣なんだろうか…。

「ジルチ、おめでとう」

「ありがとう。これでカントーに行けるね」

「うん」

念願のカントーの旅だと楽しみにしていると長老が思い出したかのように話しかけてきた。


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