水の都の巫女 | ナノ


19

 ストーンエッジの急所に当たってからリザードンの戦いのリズムが崩れ、バンギラスの渾身のドラゴンクローで決まった。

「これであと1匹!」

「あと1匹?これからが本当の勝負よ!」

「バンギラス、初のジム戦よくやったっ!最後を決めよう、ライボルト!」

バンギラスはにんまりと笑って頷いた。入れ替わりにライボルトはあとは任せろとアイコンタクトをした。

「エースポケモン同士の最後のバトル、か。レッドの言ってたのはあのバンギラスの事かい?」

「そうだよ」

「初のジム戦であそこまで戦えるとは流石だね」

「僕のリザードンがバトルの相手をしてたから戦いやすかったんじゃないかな。イブキのリザードンはほとんど物理技だったし」

「バンギラスの戦い方を見てるとレッドのリザードンがどれ程強かったか想像がつくよ。あの猛攻を物ともしなかった…もう少し戦っているところ見たかったな」

「それはチャンピオン戦で体験出来るでしょ?」

「はははっ!確かにな!」

フィールドを見るとイブキのキングドラとジルチのライボルトが睨み合っていた。

「れいとうビーム!」

「かえんほうしゃ!」

威力と技の相性はライボルトが勝っていた。

「ならハイドロポンプ!」

「10万ボルトで押しきって!」

次から次へと繰り出される技を相殺していった。イブキさん的には腹立たしい事かもしれない。

「こうなったら…!!あくびっ」

くあぁ……とキングドラは眠そうにあくびをしてライボルトを眠りに誘おうとした。

「ライボルト、寝る前にかみなり!」

体毛をバチバチと音を立ててキングドラにかみなりを落とした。そしてあくびをしてライボルトは眠った。

「あら、ボールに戻さなかったのね?」

「エースはエース同士のバトルをしたいですからね。それにライボルトはすぐ目を覚ますはずだからいいのですよ」

「いいわ。眠らせた事に後悔させてあげる!りゅうのいぶき!!」

キングドラから物凄い力の息を吐いてライボルトを吹き飛ばした。床に落ちる前にライボルトは目を覚まして受け身をとった。

「おはよう、ライボルト!切り替えていこう。10万ボルト!」

「本当にすぐ目が覚めた…。れいとうビーム!」

爆風を気にせずライボルトは煙の中を突っ切ってキングドラに近づいた。

「かみなりっ!!」

至近距離のかみなりを浴びて身体を痺れさせながらキングドラは倒れた。

「よし…勝った!!」

「この私が負けるなんて……信じられない。何かの間違いよ……」

ライボルトをたくさん撫でて、お疲れ様と言ってからボールに戻した。イブキさんはこの状況を信じたくないらしく、首を振っていた。

「私は認めないわ。負けて言うのもなんだけど、貴女の戦い方や考え方ではカントー制覇してポケモンリーグに挑戦なんて無理に決まってるわよ。理由は詳しく知らないけどワタルに結構気に入られてる…」

「ワタルさんに関しては両親の知り合いとしか知りません。イブキさんに認められなくてもこの子達とならリーグに行けると信じています!…それともこれもワタルさんの策の1つですか?」

観客席に座っているワタルさんを軽く睨んだ。

「ワタルは関係ないわ。……そうだわ!竜の洞穴に祠があるからそこへ行ってごらんなさい。もし、そこで貴女のやり方を長老に認められたなら私も貴女がジムバッジを渡すに相応しいトレーナーだと認めてあげるわ!」

「わかりました、すぐに行きますね。レッドはそこで待ってて」

「…わかった」

私はジムの扉を勢いよく開けてジムの裏手にある竜の洞穴へ向かった。
洞穴の入り口にいる人が私を見ると悲鳴を上げてどこか走り去っていったのを無視して祠を目指した。


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