10
オーキド博士の所へ着いて挨拶を済ましたあと目的地の庭へ向かった。
「んーっ!今日もいい天気で気持ちいい!レッドもそう思わない?」
ジルチは背伸びしながらぼくに聞いてきた。
「うん、今日は晴れてよかった」
空を見上げればポッポの群れが飛んでいてとても澄んだ世界が広がっていた。
ぼくは近くの切り株に弁当箱を置いた。ジルチも持ってきたバスケットを弁当箱の隣に置いた。
「ジルチ、そのバスケット何入ってるの?」
「朝、お母さんと一緒に作ったクッキーだよ。レッドくんのは?」
「母さんが作ってくれたから多分おにぎりじゃないかな?ジルチと一緒に食べてってさ」
「ありがとうっレッドくんのお母さんにもクッキー分けなきゃね」
「どういたしまして。ジルチもありがとう」
「お互い様だね。お昼になったら食べよう!さてと、あの時のピカチュウいるかなー?」
ジルチは切り株の隣にある大きな木に登っていった。…いや、正確には一番近くの太い枝まで軽く飛んだ。
「見つかりそう?」
「んー……あ、いた。おーい!ピカチュウー!遊びに来たよー!!」
ジルチが少し離れた草むらに向かって大きな声で呼んだ。その声に反応して草むらが大きく揺れた。
『ピカピッ!』『ピカァ!』
草むらからピカチュウの2匹出てきた。
ジルチは木の上から飛び降りてピカチュウたちに近づいた。
「今日はピカチュウのお友達を連れてきたの?」
『ピッカ!』
ピカチュウはそうだ!と手を振った。
「わたしも今日友達連れてきたんだ。紹介するね、この子はレッドくん」
「よろしく、ピカチュウ。ぼくもよく遊びに来るから見覚えあるかもしれないね」
ぼくはピカチュウに手を差し出すとピカチュウは手を触れてくれた。
もう1匹のピカチュウはほっぺをむにむにと触っていた
「…あ、君はもしかしてこの間のピカチュウ?」
『ピカ!』
「レッドくんこっちのピカチュウと前に会ったことあるの?」
「うん、この間ほっぺを触らせてくれたピカチュウだよ」
「この子だったんだねー」
ぼくはピカチュウの前に座って以前のようにほっぺをむにむにをし始めた。
『ピィ〜カァ〜…』
ピカチュウはぼくにされるがままじっとしていた。その様子を隣で見ていたジルチが「わたしも触らせてもらおう」と言ってピカチュウの前に座った。
「ピカチュウ?ほっぺ触っていい?」
『ピカ!』
ピカチュウは喜んでジルチの膝の上へ座った 。
「では、さっそく…」
ピカチュウの頬へそっと手を近づけてもにゅっと包み込んだ。
「…!!や、やわら…かい!」
ジルチは優しくつまんだりむにむにと触ったりとその柔らかさを堪能していた。
ぼくはジルチの緩みきった顔を見て少し笑った。
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