12
―シロガネ山・山頂
グリーンが言ってた通り、吹雪が強く、視界が悪くて厳しい環境だった。帽子が飛ばされないよう手で押さえながら歩いて防寒対策してて本当によかったと実感した。そして隣にいるレッドが半袖で平然と歩いてて慣れって恐ろしいと思った。
「ここが僕がずっと籠ってた洞窟」
中へ入ると少し肌寒いくらいの気温で広い洞窟だった。奥へ行くとレッドの置いてた荷物があって、私の荷物もそこに置いた。
「リザードン、あそこに火をつけてくれる?…うん、ありがとう。お疲れ様」
リザードンが薪に火をつけて洞窟全体が少し明るくなった。
焚き火の近くに座って指先を暖めていると帽子を脱いだレッドが私の隣に座った。
「朝と夜が1番強く吹雪いてるから昼過ぎに少し下りた所にある洞窟へ行こう。ヨーギラスはあまり見かけなかったからつかまえるのに苦労すると思う。あとリングマには気をつけてね、あいつら見境なしに攻撃してくるから」
「わかった。ヨーギラスを探しながら野生のポケモンとバトルをして皆を鍛えるよ!」
「うん。ねぇ、ジルチ」
「ん?」
焚き火からレッドに顔を向けると真剣な表情をしていた。この表情、昔に見たことがある。
「僕は…旅をして、ジムに挑んでバッチ8個を集めてリーグへ行った。そしてワタルとチャンピオンになったグリーンを倒して少しの間だけチャンピオンになった…。3年ぐらい会ってなかったけど僕の気持ちはあの時から変わってない。ジルチも気持ちが変わってなかったら……」
レッドの少し冷えた左手が私の頬に触れた。
「ジルチ、僕と付き合って」
「……レッド、私の気持ちはあの頃から何1つも変わってないよ。レッドの事が好き。だからー」
「レッドの気持ち、受け止めるよ」と言おうとしたらレッドの口づけによって塞がれた。少し触れるぐらいの口づけをして離れたと思えば強く抱きしめられた。
「ージルチ、大好き。ジルチの事、絶対に守る…傍に居るから僕から離れないで」
「うんっ!!ありがとう、レッド…!」
あの日の告白から3年の時を経て、私達は恋人同士になった。
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