水の都の巫女 | ナノ


11

 2日ぐらいで大きな怪我は治って今のところ右目の色が戻っていない事以外は身体に支障はなく、包帯を外して腕を動かしても痛みはなかった。

「よし、大丈夫かな!防寒対策の服を買ってこよっと!」

フスベの服屋で冬・夏用でカスタマイズが出来るコートと水色のマフラーを購入してからレッドと合流した。

「お待たせ!」

「防寒対策バッチリだね。目的地の山頂の洞窟までリザードンで飛んで行くよ。さ、掴まって?」

レッドはリザードンに飛び乗って手を差し伸べた。

「うん!」

レッドの手を掴むと引っ張ってくれてリザードンの上に乗せてもらった。私はレッドの背中に引っ付くような体勢になった。

「腰に掴まってていいよ?」

「う、うん?」

レッドの腰に手を回して抱きついた。背中の温もりを感じていると急に恥ずかしくなって顔を背中に押しつけた。

(後ろだからレッドに顔を見られなくてよかった…!!)

(どうしよう、ジルチの反応が物凄く可愛い…!!)

レッドはジルチが悶えてるのを背中で感じ取っていた。

「(平常心、平常心…)よし、リザードン!シロガネ山に戻ろう!」

リザードンは頷いてから翼を羽ばたかせて飛んだ。
その様子を見たワタルが空を見上げた。

「…レッドとジルチはどこへ向かったんだ?」

「あぁシロガネ山ですよ。荷物を取りに行くついでに修行するって言ってました」

「そのまま山に籠って下りてこないなんてないよね?」

グリーンはまさかと思っていたがレッドとジルチならやりかねない。

「さすがにジルチがリーグ制覇を目指しているから山に籠ったまんま生活するとは思いませんが……あ」

「ん?グリーンどうした?」

「食料配達してない事を思い出した…!!すみませんっオレ、急いでトキワに戻ります!」

グリーンはピジョットを出してトキワの方角に飛んでいってしまった。

「全く…マサラタウン出身の子は自由人ばかりだな。ま、強くなって戻って来なよ、ジルチ。君がイブキを倒せるのか見届けてやるよ」

あの子はきっと全力のイブキを倒してからすぐカントーのジムへ挑みに行くだろう。だからカントーのジムリーダー達にジルチが来たら遠慮なしで全力で挑むよう伝えた。通常ならありえない話だが…仕方ない。
カントーのジム巡りを困難な物にしないとトキワジムまでライボルト1匹で倒してしまいそうだ。

「もっと条件を増やしておくべきだったか……」

ジルチはカントーのジムが強化される事を知らない。どんな反応をするか気になるがそれはチャンピオンの部屋に来るまで楽しみにしておこうと思った。

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