水の都の巫女 | ナノ


09

 マサラタウンは今日も変わりなくいい天気だった。けどぼくからしたら今日は特別な日だった。

「レッドくーん!迎えに来たよー!」

ぼくの家の前にジルチがやってきた。
この間、グリーンの家から帰る途中にオーキド博士の庭へ一緒に遊びに行く約束をして今日がその日になった。

「おはよう、ジルチ。すぐ出るから待ってて!」

ぼくは窓から顔を出してジルチに返事をした。
今日のジルチはいつもの白いワンピースで手にバスケットを持っていた。
机に置いてた帽子を取って1階に降りた。

「レッド、ジルチちゃんが来てるわよ。はい、これお昼ご飯。ジルチちゃんと一緒に食べてね」

母さんがニコニコしながら弁当箱を渡してくれた。

「うん、ありがとう」

……いや、なぜ母さんがそんな嬉しそうなんだ。
そんなことを考えてると母さんは心を見透かしたかのように話し出した。

「レッドが随分嬉しそうな顔して遊びに行くからジルチちゃんの事が好きなのかなって思うと母さん嬉しくって」

「!?」

「うふふっ図星かしら?ジルチちゃんが引っ越してからレッドが遊びに行って帰ってきたときの表情が違うもの」

「…(そんな顔してただろうか……)」

普段からグリーンとよく遊ぶし楽しい、その中にジルチが入ってからもっと楽しくなった。
確かにぼくはジルチの事が好きだ。グリーンもジルチの事が気になってるみたいだけどグリーンには負けたくないな。

「ほーら、何ぼぉーっとしてるの?男の子が女の子を待たせちゃダメ!絶対!」

ほらほら!と母さんがぼくの背中を押して玄関へ放り出した。

「いってらっしゃい!レッド!」

「い、いってきます」

満面の笑みで見送る母さんを見たあと玄関の扉を開けた。

「ごめん、お待たせ」

「ううん!気にしないで!」

ジルチは微笑んでバスケットを持っていない方の手でぼくの手を掴んだ。
掴まれたときぼくは少しドキッとした。

「さぁ!オーキド博士のお庭に、行こ!!」

「うん」

本当はぼくから手を繋ぎたかったんだけどな…帰りはぼくから手を繋ごう。
こうしてぼくらは手を繋ぎながらオーキド博士の庭へ向かった。


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