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ジルチはピカチュウのかみなりを防ごうとひかりのかべを出した。
―バチンッ
ひかりのかべとかみなりがぶつかって物凄い音がした。
「ピカチュウ、頑張れ!!」
『ピッカッ!!』
―ピシ………バリーン!!
ヒビが入ったひかりのかべが割れてジルチはかみなりに打たれた。
「……」
翼が消えて赤黒いオーラが霧散した途端、ジルチは倒れそうになった。
「ジルチ!!」
床に倒れる前に駆け寄ってジルチを受け止めた。身体中傷だらけで見てるだけでも痛かった。
「貴方の事、思い出しましたよ。3年前、サカキ様を倒してロケット団を1人で壊滅させた少年ですね」
「…サカキは?」
僕はロケット団のしたっぱを睨んだ。ロケット団が復活したならサカキがいると思った。
「サカキ様の行方はまだわかりませんがいずれ戻ってきます。手放すのは惜しいですがジルチはお返しします。もっと改良を重ね、万全な状態になったらまた迎えに行きます」
「ジルチは絶対に渡さない」
「くくく…では、また会いましょう」
したっぱはドガースを出してえんまくを放った。
えんまくが消えた頃にはしたっぱの姿はなかった。
「ロケット団は相変わらず逃げるのが速いな…。レッド、ジルチは大丈夫か?」
「…呼吸はちゃんとしてるけど出血が酷い」
僕が来る前にカイリューとウインディの2匹を相手にしていたから身体中傷だらけで病衣が血で汚れていた 。
「フスベヘ向かおう。治療に専念しやすい環境だからな。ヒビキ君も来てくれるかい?」
「もちろんです!ジルチさんが心配ですからね…」
ヒビキとゆう少年とワタルは先に実験室を出て外へ向かった。
僕はリュックをピカチュウに渡してジルチを背負った。
「オレたち、変な再会になっちまったな……」
リーグでまた会おう、それが僕たち3人の約束だった。結局僕はシロガネ山に、グリーンはトキワジムにいたけどね。
「そうだね。こんな形で再会するとは思わなかった」
「怪我が治って無事に目を覚ましてくれよな、ジルチ。オレらも行こうぜ」
「うん」
ロケット団のアジトを出て僕らはフスベシティへ飛んだ。
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