水の都の巫女 | ナノ


36

 投薬後の副作用で呼吸混乱、記憶が消えるとゆうのは確認済でした。その過程で吐血をして意識を失ったジルチをしばらく観察をしてました。

「ふむ、意識が戻らないとわかりませんがここまでは順調ですね」

ジルチの顎を持って口元に流れた血を舐め取り、顔をまじまじ見ると意外と色白で年相応の可愛らしい顔立ちであることに気づきました。初対面の時は薄暗かったのでよく観察ができませんでしたからね。

「さぁ、早く起きてください。我々の敵が来ますよ」

軽く頬を叩くと反応があったので死んでないようで安心しました。
ジルチは目を開けるとさっきまでの緑色の瞳ではなく、不気味さを感じる赤みを帯びた金色と赤黒い色のオッドアイでした。

「おはようございます。具合はどうですか?」

「……」

ジルチは虚ろな目で私を見ました。

「…心を閉ざすと無口で会話をしないとありましたがやはり困りますね。それなら心を閉ざすより善がわからなくなるくらい悪に染める方がよかった気もします」

「……」

暴走はしてないようなので拘束を解除しました。ペタペタと裸足で1、2歩歩いて私を見上げて首をかしげました。
順調なのを再確認してると廊下が騒がしくなってきました。どうやら3人組が怪電波発生装置を止めてこちらに向かってるみたいですね。

「ジルチ、もうすぐ出番ですよ。活躍したら褒めてあげましょう」

「……」

ジルチは私を見たあと廊下と繋がる扉に目線を移すとカイリューが扉を蹴飛ばして入ってきました。

「ジルチ!無事か!?」

ワタル、グリーン、ヒビキの順に入ってきました。

「ようこそ、ロケット団アジトへ。ジルチは無事ですよ。…我々の道具としてね」

「道具だと?」

「てめぇ!ジルチに触れるんじゃねぇ!!」

ジルチの肩を持って微笑んでいるとグリーンが舌打ちをして暴言を吐きました。実に不愉快です。私の道具なのですから触ってもいいじゃないですか。

「ジルチさん!助けに来ましたから何か言ってくださいよ!!」

「無駄ですよ。心を閉ざしてますから貴方たちが何を言ってもジルチには届きません」

「そ、そんな…!」

「嘘だろ?ジルチっそんなものに屈するような奴じゃねぇだろ!?しっかりしろよ!!」

「……」

ジルチは3人を見てるだけで何も応えなかった。

「くくく…。そういえばジルチが意識がなくなる前にレッド助けてと言ってましたがその方はいないようですねぇ?さて、ジルチ。あの3人は我々の敵です。追い払ってくれませんか?」

「……」

ジルチは私の言葉を理解したようで暗い紫色の薄い翼を出し、戦闘の体勢に入りました。

「グリーン!バトル開始だっジルチに攻撃する事に抵抗あるが仕方ない!!」

「チッ…すまねぇ、ジルチ!!」

カイリューとウインディがジルチと対峙してバトルが始まろうとしてます。

「ヒビキ君たちは攻撃の流れ弾が当たらない場所に避難してくれっ!」

「うっ…わかりました!!」

さぁて、どれだけの力が備わっているか楽しみです。

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