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―怪電波発生装置・地下実験室
薬品の独特の臭いがして意識が戻ってきた。チョウジジムを出て、ランスにスプレーをかけられて…イーブイを逃がしたあと意識を失ったのを思い出した。
「ここは…」
妙に肌寒いし身体が動かないと思えば服が病衣になっていて手足が機械で拘束されていた。
「な、何これ!?」
腕を動かしてみてもビクともしなくて能力が発動できなかった。昔に拘束された機械と同じ物か強化された物かもしれない。
「おや、お目覚めですか」
私の視界に入らない真横にランスがいた。腕を上げた状態で壁に拘束の機械が固定されているから真横があまり見えなくてわからなかった。
「ランス…貴様ぁ!!」
「初めて会った時もそうでしたが口が悪いですね。女の子らしくありませんよ」
「うるさい!今はそんな事関係ない!大体何でこんな格好になってるんだ!!」
ロケット団なんかに敬語や普通に喋るつもりはない。それ以上に何故病衣を着させられてるのか気になった。
「安心してください、女性の団員に着替えさせましたし手持ちと荷物は別の所に保管させてます」
「そうゆう問題じゃない!!」
「私が着替えさせた方がよかったですか?」
ランスのセリフに絶句して(こいつ、変態だ!!ロケット団の中で最も冷酷じゃなくて変態じゃないか!)と心の中で叫んだ。
「そんな冗談はさておき、これから貴女に実験をしようと思いまして」
「…死ぬような実験はお断りよ」
「死にはしないと思います。ポケモンや使えないしたっぱに前もって実験をしましたから」
なんて奴だ。と思っているとランスは話を続けた。
「ダークポケモンを知ってますか?海外である組織が開発した道具によってポケモンの心を閉ざして戦闘マシーンにさせるのですが」
「知らない」
ダークポケモン、初めて聞いた。お母さんの研究資料を一通り目を通したけどそのような単語は1つもなかった。ポケモンを戦闘マシーンにして暴れたら大事件だ。
「まぁ悪の組織の間では有名な話です。その組織に潜入してた団員からその道具の仕組みを盗み、我々はその資料を元に薬品開発を進めてました。…全てはサカキ様の野望の為に」
ランスは私の前を通りすぎて机に置いてある箱を取った。
「3年前、サカキ様は人の姿でポケモンの技を使う事ができる兵器を作って世界征服を目論んでいました。以前別のもので実験をされてましたが失敗に終わりました。その次に目をつけたのが貴女の家族でした」
「野望の為に私たちを巻き込んでお母さんを殺したって言うのか…!!」
「あれは我々としては予想外の事故でした。殺すつもりはなかったのですがね…。以前の失敗を考え、感情をなくせばいいのでは?とゆう結論が出ました。先ほどお話した通り、大型な道具ではなく薬品開発を進め…まだ試作品ではありますが薬品が出来ました」
箱から黒なのか紫なのか不気味な色をした液体が入った注射器を取り出した。それを見た途端、嫌な予感がして冷や汗が出た。
「…まさか試作品を私に投薬する気?」
「くっくっく…その、まさかですよ。そうそう、このアジトを嗅ぎつけて面白い方々が来てるのですよ?」
ランスはポケットからリモコンを取り出して目の前にあるモニターの電源を付けた。
そこにはマントの男の人、ヒビキ君と一緒に行動をしてるグリーンの姿が写っていた。
「グリーン!?」
「おや、トキワジムリーダーのグリーンを知っているのですか」
「お前には関係ないっ」
「そうですねぇ」
ランスは注射器を持ちながらモニターを見て何か考え事をしていた。
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