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階段を下りてしばらく歩くと鬼の形相をしたワタルさんがしたっぱの胸ぐらを掴んでいた。
「ヒビキ君!この人が親切に教えてくれたよ」
俺に気づいたワタルさんはしたっぱを離した。
「ジルチの居場所はわからなかったけど怪電波発生装置の部屋のロックを解除するにはある人物の声を入力しなければならない。その人物とは…ロケット団幹部のラムダ!奴はボスの部屋に隠れているという事をつきとめたぞ!だけど…ボスの部屋にもパスワードが仕掛けてあるらしいんだ……」
小さな声でめんどくさいからはかいこうせんで…が聞こえたけど気にしないでおこう。
「ヒビキ君!まずはボスの部屋のパスワードを探しに行ってみよう!」
ワタルさんが先に行こうとした時、俺の足元にいたイーブイを見た。
「大丈夫かい?だいぶ傷ついてるな…俺の薬を分けてやるよ」
「ありがとうございます…イーブイがしたっぱを見かけたらすぐ襲いかかるんです…」
「……」
ワタルさんはしばらくイーブイを見つめた。
「いい瞳をしてるな。君はジルチが心配なのはわかるが居場所がわからない以上無茶しても意味がない、いざとなった時に動けないとダメだ」
『ブィ…』
「今はヒビキ君と共に怪電波を止めるのとヒビキ君を守ってあげるんだ。ジルチの居場所がわかれば俺がすぐ助ける。いいね?」
『…ブイ!』
イーブイは少し考えたあと強く頷いた。
「ヒビキ君、まだ頑張れそうか?」
「もちろんっす!」
「じゃあ先へ進もうか」
俺たちの前にロケット団のしたっぱが奥から何人も現れた。
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