水の都の巫女 | ナノ


29

 ―カントー地方・トキワジム
今日はレッドが珍しく山から降りてシロガネ山麓にあるポケセンに来る日、つまりオレの食料配達の日だ。

「この間、ポケモンフードが足りないって文句言われたんだっけ…」

大きいリュックにポケモンフードの缶をいつもより多めに入れた。

「さてと、早く行かねぇとレッドの奴うるさいからな…」

リュックを背負った時にポケギアが鳴って画面を見るとワタルさんからだった。

「ワタルさんから電話なんて珍しい…もしもし?」

[俺だ。グリーン、緊急事態だ。ジルチがロケット団に拐われた!]

「何ぃ!?」

衝撃的すぎて背負ったリュックを床に落とした。

[すぐにチョウジタウンの怪しいお土産屋に来てくれ!!レッドにも伝えてもらいたいっ、先に向かう!]

「わかりました!……ジルチ、大丈夫かよ」

電話を切ってレッドに電話をかけた。シロガネ山から下りてるから繋がるはず……。オレはジムの窓から外に出た。ジョウト地方のチョウジタウンへ向かうべくピジョットを出した。

 ―シロガネ山、ポケセン
今日はグリーンが1ヶ月に1度の食料を持ってきてくれる日。
最初はグリーンが山頂の洞窟まで届けてくれたけど、ポケギアを渡されてから固定の日時指定して麓のポケセンに来いと言われた。
ポケギアで日付がわかるようになって気づけば3年ぐらいシロガネ山に籠っていた。誰にも負けないくらいもっと強くなろうと思ってずっと修行していた。
グリーンを待っているとポケギアが鳴ってびっくりした。画面を見るとグリーンからの電話だった。

「もしもし?」

[レッドか!緊急事態だ!!]

風の音が酷い、空の上をかなりの速さで飛んでるようだ。

[ジルチがロケット団に拐われた!!]

最初グリーンが何を言ってるのかわからなかった。ロケット団は3年前に解散したはず。

「…は?ジルチがロケット団に?」

[あぁ!ワタルさんから連絡を受けて…とりあえずチョウジタウンの怪しいお土産屋に………]

―ガチャ!!
僕が解散させたロケット団が復活している…あの時サカキにジルチを諦めろと言って承諾したのに3年経った今、ジルチを拐ったことに腹が立った。

「助けなきゃ。そしてロケット団を…もう1度壊滅させる」

すぐにポケセンを出てリザードンを出した。

「いきなりでごめんだけどジルチを助けに行くから全速力でお願い」

大切な人を助けに、僕もチョウジタウンへ向かった。

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