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さて、嵐が過ぎ去るのを待たなきゃいけないからポケセンへ戻ろうと思って後ろを向くと真後ろにミナキさんがいた。
「ひっ!」
「君は焼けた塔でマツバと一緒にいた子…ジルチだったか?」
「そうですよ。ミナキさん」
「今の…スイクンじゃなかったか?ちょっとしか見えなかったが海の上をスイクンが走って行ったように見えたぜ……」
確かにスイクンは海の上を走っていった。会話まで聞かれてないか少し気になった。
「スイクンは美しくて凛々しい。しかも物凄い速さで町や道を駆けめぐる、素晴らしい。私ももっと近くでスイクンを見てみたいのだが……」
しまった。ミナキさんはスイクンマニアだったことを忘れてた。
その場を離れようとミナキさんの横を通りすぎようとしたら右腕を捕まれた。
「よし!トレーナーである君と戦って私もスイクンに認めてもらう。早速勝負だ!いくぞっジルチ!」
いきなりミナキさんに勝負を挑まれたけど全員ライボルトで返り討ちにした。
マルマインがいつ爆発するかわからなくてヒヤヒヤした。
「凄いぜジルチ!スイクンが君の様子を伺っていたわけが少しわかった気がするよ……。とにかく私はこのままスイクンを探し続けてみる」
「頑張ってください」
「君とはまたどこかで会うかもしれないな。じゃあ!」
こんな嵐の中どこへ行くのだろうと思いつつミナキさんを見送った。
今度こそポケセンへ…と思った時だった。
『お困りのようだな。ジルチ』
ルギアが海から顔を出していた。
「嵐でアサギに戻れなくて困ってる。…ってルギア、スイクンが探してたよ!?」
『ん?スイクンが?まぁいい。アサギまで送ってやろう』
「え?」
『さぁ乗るがいい』
ルギアがアサギまで送ってくれるのはありがたい話で背中に乗ったのはいいけど、翼を軽く羽ばたいただけで民家を吹っ飛ばすと言われてなかったっけ?
「ルギア…羽ばたいたらタンバの民家吹っ飛びましたとかないよね?」
『……恐らくな』
「え、ちょっと待っ…」
『しっかり掴まってな!』
「うぁあっ!!」
ルギアは海上から一気に羽ばたいて暴風の中へ飛び出した。
気になって後ろを振り向くと民家は無事だったが瓦が何枚か飛ばされていた。
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