水の都の巫女 | ナノ


チャンピオンと護神(ワタル)

 俺がシズクとサフィラスと知り合ったのは5年ぐらい前のことだ。
息抜きにリーグの外へ出たときにサフィラスと名乗る妙な男が「チャンピオンである君に頼みがある」と言われた。

「君はポケモンと人の間に生まれた子供がいると聞いて信じるかい?いや、別に信じなくても構わない。僕の妻と娘がホウエンからカントーへ引っ越すのだけど2人に何かあったら悪い組織から守ってほしいんだ」

「話が随分と唐突だな?仮にポケモンと人の間に生まれたとゆう証拠は?それに悪い組織とはロケット団か何かか?」

本当に唐突で信じがたい話だ。この男が何者かわからない以上行動には移せない。
するとサフィラスは胸ポケットから1枚の写真を取り出した。

「これ、僕の家族写真。この子が娘のジルチ。ちなみにロケット団も含めだよ」

いたって普通の家族写真だ。写真に写っている女の子と女性を見比べると娘なのがよくわかる。しかしサフィラスは人の姿でポケモンとは思えない。

「今、僕の姿が人間だから疑ったでしょ?信じてもらうために本当の姿を見せてあげよう」

サフィラスが光ったと思えば赤い瞳で青色の翼が生えたポケモンになった。

「本当にポケモンだったのか…。わかった、君の話を信じよう」

『そう言ってもらえると助かるよ。カントーじゃ生息しないポケモンだからこの姿でうろつけないんだ。ラティオスってポケモン知ってる?』

また光ったと思えば人の姿に戻っていた。

「あぁ、ホウエンに生息する珍しいポケモンだったか?あまり詳しく知らないが」

「まぁそんなとこだね。シズクの連絡先はこれだからあとはよろしく頼むね。僕はホウエンに戻るよ」

小さく折り畳まれた紙を渡してサフィラスは姿を消した。
メモを見るとマサラタウンのオーキド博士研究所と僕らの身に何かがあってジルチが1人になった時は君に託す。もし君でよければ娘を貰ってくれて構わないからと書いてあった。

「いくらなんでも娘をやると言わなくても…。とりあえずシズクと連絡を取ってみるか」

そのあとシズクと何回か手紙でやり取りして直接会ったこともある。今度ジョウトのワカバタウンへ引っ越しますと連絡がきてから手紙が途絶えた。
シズクが亡くなったのを知ったのはワカバタウンにロケット団が襲撃、研究員1人死亡と書かれた報告書を見たときだった。
俺は慌ててワカバタウンへ向かってウツギ博士研究所に訪れた。

「チャンピオンのワタルさん!?どうしてここに?」

ウツギ博士が驚くのもわかるがそれより娘のジルチが見当たらないことに焦った。

「シズクが亡くなったと聞いて来たのだが…娘のジルチはどこに?」

「ワタルさんはシズク君の知り合いだったんだね…。ジルチちゃんはさっき旅に出たところだよ」

「そう、か…。ジルチの父親に頼まれて来たのだがジルチの写真はあるか?幼い頃の写真なら見たことあるが今の姿がわからなくてな」

「それならジルチちゃんの部屋にある写真を見るかい?案内するよ」

「助かる」

2階にあるジルチの部屋へ案内された。女の子らしいさはなく、シンプルな部屋だった。ポケモンの本や木の実の本、バトルの知識といった本がたくさんあった。
机にある3つの写真立てを見るとオーキド博士研究所の前で撮った写真があった。レッドとグリーンも写ってて彼らとは幼なじみだったなと思い出した。俺が昔に見せてもらった写真より成長していた。

「ウツギ博士ありがとうございます」

「いいよ。ジルチちゃんはリーグに行くことを目標に旅をしてるからそのうちワタルさんのとこに来るかもね」

「そうだな、その時を楽しみしている。失礼した」

シズクの墓参りをしてからワカバタウンを去ってリーグへ戻ってから数時間後、キキョウシティのハヤトからジムに女の子を狙ってロケット団が襲撃してきたとの連絡をもらった。

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