その度に謙也から切迫そうな吐息混じりの声が上がる。
反射的に刺激の発生源から逃げようと身を捩るも、反対の手でしっかりと腰をホールドされていてはそれも叶わない。
逃れることも遣り過ごすことも叶わないとしたら。
あとは、じくりと理性を食い潰し始めるのみ。
「なまえっ、ん……ぁ、……も、っと……ッひぅ！」
「おま、中着てねーのか」
「っあ、！ ゆ、かた着とる、からぁっ……ええかと、思ってん……ん、ぅッ！」
「……このまま風呂行かなくて正解だったな」
「え、？ ――――っふあ、ああ」
綺麗に長さが整えられた爪先が乳首を引っ掻いて、謙也は思わずなまえの肩にしがみ付いた。
浴衣の合わせから手を差し込むことなど至極容易なこと。
案の定好き勝手に弄り回すなまえの爪先に謙也の腰は跳ね身体の芯が疼く。
はふはふと呼吸すらままならない状態。
次第に霞んでいく視界と思考。
癖になりそうな感覚を求めて、早く、と謙也は舌足らずな口調の甘えた声を上げた。
「――っは……エロいっつの、」
「、あうッ！ ……ひ、あ……、ぁ……っ……っく、」
「もうドロドロだし……そんなに、胸が良かったのかよ」
「ッや、んん……待、ァッ……ぁ、ひぅ！」
ぐちゅ。後孔を慣らす指が2本に増やされると同時に胸にびりっとした痺れが走る。
視線を下に落とせば想像通りの光景が謙也の眼に飛び込んできた。
後孔を開くように弄られながら、同時に吸われた赤く腫れた胸。
そして、謙也を窺う上目遣いのなまえ。
視線と視線がぶつかった瞬間――――くす、なまえが笑った。
「ぁ……っ、」
「今中閉まったんだけど。かーわい」
「！！ ……うーっ、言うなやぁッ……ふあ、ッん……も、なまえ……ええから、っ」
「そうだな。謙也、ゆっくりで良いから腰を落とせ」
「おん……っは、……――ぁ、ぁぁ、あぅッ！」
なまえの手引きで途中まで挿入したところで、腰を強く引かれた。
勿論引いたのはなまえで。引かれた方向は真下で。
謙也は下半身を電流が駆け抜けたように跳ねさせる他ない。
生理的な涙で目元を腫らしながら睨むも、なまえはしたり顔をするばかり。
そればかりか「お前もちゃんと動けよ」と言う始末。
「ゆっくりで、ええって言うたくせにぃ……っ」
「悪い。我慢出来なかった」
「全然悪いなんて思ってな、ァッ！ ちょ、まだ、話は……ッあ、ん！」
「ほら、謙也も動けって」
「無茶言、うなっ……はっあ、あ……、やッん、んぁ、」
悪びれも無く言った謝罪は、所詮はおざなりなもので。
納得がいかないと口を尖らせた謙也も、結局のところなまえに流された。
「っや、なまえ……ッ、も……あか、ん……なまえ、！」
しとどに溢れる白濁液を散らしながら、汗ばむなまえの頭部を抱き抱えた謙也。
それを限界の合図と覚ったなまえは雄々しく張り詰めた中心に手を添え。
カリッと鈴口を引っ掻いた。
「――――〜〜ッああ、！ ……っ、」
***
「……悪いんはなまえやもん」
「はいはい」
「何で、浴衣を着ただけで男前度が上がんねん！」
「知らねーよ。良いから、お前はTシャツを中に着ろ」
時刻は夕食。
情事後、無事温泉にも浸かりご満悦のなまえと対照に不貞腐れている謙也。
そんな二人の旅行はまだ初日である。
a travelog - an itinerary
-とある旅行記-
(おお！ ここん飯美味いなあ！)
((……もう機嫌直ってやんの))
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