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その思いもよらない行動に目を瞬かせ、慈郎はわたわたと慌て出す。


「なまえさん、っ謝んないで……! 俺が我侭言っただけだから!」
「いや、俺が大人気なかった」
「でもッ……、」
「ごめん」
「うう……頭上げてよー……ッ」


頭を上げるように言っているが中々なまえは頭を上げない。
流石にどうしたら良いか分からなくなって、慈郎の声が涙ぐむ。
その声質にはっとなったなまえがようやっと顔を上げて、今度は彼が慌て出した。


「え、と……ジロー?」
「やっと顔上げたC−!」
「っわ! こら、ジロー危ないだろ……!」
「ね、仕事はもうEーの……?」
「取り敢えず今日明日は一緒に居られるよ」
「ッやったー!!」


首に回した腕に更に力を込めてなまえの首元に顔を埋める。
ぐりぐりと額を押し付け久し振りの温かさを堪能し頬を綻ばせた慈郎。
そんな彼を微笑ましそうに見つめるなまえの手がふわふわの金髪を撫でて。
するり、頭頂部から頬へと手を滑らせた。


「……ジロー」
「んー……ん、ぅ! ……、っふ……ぁ」


互いの視線が絡んだところで柔らかなその唇を貪る。
突然侵入して来たなまえの舌に一瞬ビクッと肩を跳ねさせるも段々と順応して。
なまえが唇を離した頃には慈郎はくたりと力無く寄り掛かっていた。
熱に潤んだ赤い瞳で見上げ服の裾を掴んでいる。


「は、っぁ……なまえさ、っん……」
「……久し振りに、いい?」
「っうん、……俺もした、ッあ……!」


言い終わる前にかぷっと慈郎の白い首筋に噛み付いて上がった声。
そのまま首筋を唇と舌で刺激を与えながら、なまえの右手が手早くジャージの中に入った。
皮膚が薄い脇腹を撫でながら徐々に手を上へと上げていき、柔らかい頂に触れる。
すると、きゅっと寄る眉間の皺に強張る身体。


「っあ、……ン……っ、はぁ……ッ」


始めこそ柔らかかったそこも、押したり引っ張ったりと捏ね繰り回している間に硬さを増していった。
紅潮した頬をなまえの胸に押し付けながら擽ったそうに身を捩り。
半開きの口からは吐息に混ざって嬌声が漏れる。
服の裾を掴んで離さない慈郎の指は実に頼りなさ気だ。


「……ァ、っ……、ひ、ぅ……ッああ! っや……なまえさ、」
「ああ……こっちも、硬くなってきたな」
「んッ……、……待っ……、あ、んんっ」


空いていた左手をおもむろに短パンの中に手を突っ込むと、既にそこは硬く。
先端からはだらだらと先走りを溢していた。
早い。まだ、キスと胸しか弄られてないのに。
とそこまで考えて、なまえと一悶着あってからシてないことを思い出す。


「っぅ、ぁ……、はあッ……っ、ふ」


だからこんなにも身体が顕著に反応を示すのか。
なんて正常に機能しなくなりつつある思考で自己完結。
とにかく、次々身体を走る快感に付いて行くのに精一杯で。


「んっ……もう、ドロドロ」
「ぅ、ぁ……ッ、ァ、やッあ、言わないで、ぇ……っ……ッああ、もっ……」
「うん、イって良いよ」
「ッふ、ぁっ……や、! あぁあっ……!」


かり、限界まで張り詰めていたそれの窪みを爪で引っかかれ呆気なくも吐精を果たした。
一気に押し寄せた射精感に抗わず、吐き出した先はなまえの手の平。

脱力した状態のまま浅くなった呼吸を整えていると、霞んでいた思考が少し戻ってきて。
どろりと大きな彼の手を汚す体液に思わず顔を背ける。
羞恥に染まる全身を微笑ましそうに見つめたなまえはそっとその額に唇を落とした。

「ん、……なまえさん……?」
「続きは帰ってからゆっくりとしようか」


寝不足は覚悟しといてね、彼は柔らかい笑みで囁く。
告げられた言葉にぼっと顔を火照らせた慈郎の頬になまえはまた唇を寄せた。




フィズに泡沫は溶ける
-弾ければ後は馴染むのみ-



(あっ……なまえ、さ……ッ! ひ、ああッ……ぁ、ん!)
(ッジロー……かわい……!)


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