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「暑ぃ……」


かんかん照りの今日は里帰り三日目。
漸くこの空気に馴れたというのに、と感慨無量を装ってみる。
明日東京に戻るとはいえ。


「早いなー3日間て」
「なあーなまえもう帰るんかー?」
「せや、明日新幹線に乗ってぴゅーっとな」
「いやや!ずっとここにおってやー!」
「金ちゃんごめんな、オレにも仕事があるんよ」


腰にギューッと抱き着いたまま離れようとしない小動物。
いや、可愛いのは結構なのだが。
その抱き締める腕の力が半端なくて、痛いってか苦しっ。
コイツ中坊やぞ!


「金ちゃん、なまえさん困っとるやろ」
「白石はなまえが居なくなって寂しくないんか!」
「寂しい寂しくないの問題やない」
「金ちゃん、あんまゴンタクレとると白石の毒手喰らうで」
「……毒手も嫌や」


垂れ下がった眉尾に噛み締めた唇。
可愛いなぁ。
こうやって素直に感情を表に出せたのは何年前だろうか。
金ちゃんのさらさらな赤髪を優しく撫でて、ぐるりと周りを見渡した。

大人びているとはいえやっぱり皆中学生で。
でもオレは社会人で。
別れの言葉は此方が言うのが筋だろうから、と口を開く。




邪魔したな
-楽しかったよ-



(また来るから、泣かんでや)




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