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俺は今非常に、非ッ常に(重要なので二回言いました)危機的状況に陥っています。




「俺、なまえくんのこと大ッッ好きやねん!!」




目の前には清々しい笑みをしている白石。
奴の手には白い包帯。因みにその包帯は先程俺に向けて使用された残りである。
え、何に使われたかって?…取り敢えず、傷の保護等という健全な使われ方はしていない。
しかも、白石に腹這いされた状態での告白って。

ムードもへったくれもねぇな! 畜生!



***



放課後の誰も居ない教室。
俺はこいつに呼び出しを受けた。それはもう至極普通のノリで。

はっきり言って俺と白石との間に接点らしき接点は存在しない。
クラスも1年の時に一緒になっただけで2、3年は別。
一回ぐらいは話したかもしれない。
部活も運動、文化ともに違うし委員会も違う。
交友関係は被っていないはずだ(正直自信はないが)。

その奴がわざわざ俺の教室にまで来て放課後に話があると話しかけてきた。
そこに俺は疑問を感じたのは言うまでも無い事であろう。
だがしかし。一応2年前は同じクラスメイトだったわけだし。
仮にも同じ学校に通っている四天宝寺生だし。
と、俺はのこのこと指定された白石の待つ3-2の教室に赴いた。

のが数分前。
3-2の教室に脚を踏み入れた瞬間、横から飛び出してきた白石にタックルをかまされた。
そして、あれよあれよという間に両手の自由を奪われたという。
そうです。包帯の用途がこれになりました。…使い方違くね?


「……あ、あの……白石、さん……?」
「嫌やわぁ、そんな他人行儀で呼ばんと! いつもみたいに蔵って呼んでぇなv」
「一回も呼んだことないですけどッ?!」


俺の反論も耳に入ってないのか白石は嬉しそうに腹の上で微笑む。
更には、その表情のまま包帯を巻いた左手の指が外跳ねしてる自身の髪の毛を弄った。
まるで女子のような仕種。


「しゃーないなぁ……じゃあ、今から呼んでやっ」
「何でだよ! 普通に白いs「あっかん! 蔵って呼んでやッ!!」


ずいっ、と顔がより一層近付いてきて俺は正直たじたじ。
美形の凄んだ顔ってかなり怖いと思う。
白石の鬼気迫る顔と雰囲気に気圧されて「く、ら……」と吐き出した俺の声は情けない程に弱々しかった。
それでも白石は満足したようで、うわ言の様に何度も俺の名前を呟くと胸に頬擦りしてくる。

はっきり言おう。気持ち悪い。

四天宝寺中に通う生徒誰もが認めるイケメン王子こと白石がこんなことをしているなんて誰が想像出来ようか。
少なくとも俺は出来なかった。つか、未だに信じられません。


「……なあ、しr「蔵ッ!」……蔵。そろそろ、この包帯解いて欲しいんですけど」
「あー……それは聞けんお願いやな」
「何で?! いや、マジでお前が何したいのか分かんねぇんだけど……」
「ん? セックス」


……はい?
今、物凄く聞きたくない耳に入れたくない単語がこの目の前の白石さんから飛び出した気がしたんですが。
気の所為かな? 気の所為ですよね? うん。気の所為だ。


「……は、はは……じ、冗談きっついって」
「冗談やないで。俺めっちゃ本気やし」
「いや、いやいや! こういう事は好き同士がするもんでしょ! なっ?」
「それなら問題ないやん」
「……は?」


ヤバい。何がヤバいって? この展開がだよ!
嫌な予感しかしないし。冷や汗ハンパないし。フラグ立ちまくってるし。
あああ、そんな男子も直視出来ないぐらいの爽やかな笑顔してんじゃねぇ!!




「俺、なまえくんのこと大ッッ好きやねん!!」




言 い や が っ た 。
窓から差し込む日差しに負けない笑みを浮かべて「せやから問題あらへんよ!」なんてほざいて。
俺が上手く動けないのを良いことに俺の服に手をかけてくる白石。
ああ、待って待って!! まだ心の準備が…っ! ってか、俺は好き同士って言ったよな!?
“同士”が抜けてるわぼけえええええ!!


「あ、せや。なまえくん、安心してや」


唐突に何かを思い出したかのように顔を上げた白石に既に反抗する気も失せた俺は半泣きで反問する。
両手の自由を奪われて上半身裸にされたら、もう無理だって。
そんな俺の心境なんて露知らずに白石はやはり良い笑顔で爆弾を更に投下した。


「なまえくんは掘る側やから」


俺が勝手に進めるさかい、そこでマグロになっとってな♪
そう言い終わるか否かに可愛らしいリップ音を立てて、デコチューされた。
……くそう。今の何か可愛いかったのが無性にムカつく。
押し倒してセックスを強要するのに羞恥の様子は皆無なくせに。
デコチューで頬を染めるなんて、反則じゃねぇか。




残りはスタッフで美味しく頂きました!



(なまえくんの童貞いただきましたああああ!)
(ちょ、おま! 何で知ってんだよ!!)
(エクスタシィィィィーー!!!)
(聞けよッ!!)




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