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軽い熱中症を引き起こした忍足を視界の端に入れながら。
若干まだ放心中のピアス少年に近付く。
所在なさげに揺れる双眸。


「財前」


焦点が定まった眼。
その焦点の先は勿論声をかけた俺自身。


「サンキューな、お陰で助かったわ」
「……何がっスか」
「タオルと水。自分すぐ持ってきてくれたやろ」
「そんなん、アンタが言ったから……」


ぼそぼそと語尾が言い澱む。
先程合った視線も直ぐに逸らされてしまって今じゃ合わせてもくれない。
何かしただろうか。


「それでもや。ちゃんと冷えたったやつやったしな」
「……」
「……? 財前?」


遂に反応さえも無くなった。
え、ちょ虚しいんですけど。
ざーいーぜーん、わざと語尾を伸ばして顔を覗き込む。
すると大きく肩を揺らした彼はギッと目を鋭くさせて一言。




ウザいっすわ
-……最近の子は冷たいのね-



(あれは、光クンなりのコミュニケーションなのよ!)
(あ、そうなん?)
(センパイッ!)




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