兄貴の部活を訪ねて二日目。
「……っし、こんなもんだろ」
ざわ。
ちょっと部室に入ってたら聞こえた活動中とは違う喧騒。
人の動きが慌ただしく、焦燥を含んでいる。
「どした」
「ああ! 忍足先輩が突然倒れてっ」
「倒れた?」
捕まえた平部員に連れられたのはコートの真ん中。
色素の薄い髪が地に伏せていた。
隣にいる財前は泣きそうな顔付きのまま。
「忍足、オレの声分かるか」
「ん……、」
「……財前、部室に冷やしてあるスポドリとタオルが何枚かあるから」
「っ、持ってきます」
財前が戻ってくる間に忍足を日陰に運び出す。
勿論他の部員には元通り練習をしてもらって。
流石部長は違う。
正に鶴の一声状態で皆が散った。
「持ってきました」
「ん、サンキュ」
冷えたタオルを脇に挟んで。
ボトルを片手に楽な姿勢を取らせた。
ほら、飲め
-熱中症を甘く見たらあかん-
(頑張りすぎやアホ)
(やって、なまえさんがおるから)
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