「自分随分無駄のないテニスすんやな」
「……それが、オレのスタイルですから」
金ちゃんとの試合が終わった白石にタオルを渡す。
ありがとうございます、律儀にもお礼を述べてタオルは首にかけられた。
んー……コイツ中坊にしては全体的に整ってんな。
顔も然り体格も然り。
え、見た目だけやないかって?
しゃーないやん。
見た目しか知らんのやから。
「あ、の……」
「ん? 何や」
「そんなに見んといてくれます? 恥ずかしいんやけど」
口元にタオルを持っていったままちらり、こちらを窺うように見る。
うん、あれやな。
男に使うんはどうかと思うけど、かわええ。
ええなあ、オレもこんな弟欲しかったわー。
あんな兄じゃなくて。
へっぶし、兄貴がくしゃみしたけど気にしない。
「白石、何なまえさんに色目使うとんのや!」
「悔しかったら謙也も使うてみ、まあオレには負けるやろうけどな」
「何やと! やってみなきゃ分からんっちゅー話や!」
何故か突発的に勃発した口喧嘩。
いやー可愛らしいなあ。
ほんまに癒される。
このまま癒されとってもええんやけど、そうもいかず。
二人の頭をぽんぽんと撫でることでこの場を納めることにした。
「堪忍な、めっちゃ微笑ましいんやけど今は部活中や」
「「……すんません」」
「それに、そないに揉めんでも二人とも十分かわええで」
そう笑いかければ白石の瞳がキラッキラ輝いとって。
んんーっ
-何ですかソレ-
(オレの感情表現の凝縮や!)
(……さよか)
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