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カーテンの隙間から蒼白に群青が混じった光が射し込む。


「ふぁ、あ……ッんぅ、ぁっ……なまえ、! ッはぁ、」


眉間に皺を刻み眉尻を下げてひっきりなしに上がる嬌声。
普段では絶対聞くことのない高さに色気を含んで、聴覚から脳髄に響く。

程好く付いた筋肉。すらりとした四肢。

どこを取っても端整な白石を引き立てる要素にしかなり得ない。
唯一見た目的な質を下げるといえば、全身至るところに存在する痣と痕だろうか。


「ッあ、ん! ゃ、なまえっ……また、イっちゃ……ぁ、ッひ、ぁああ!」


またイった。
長い脚を俺の腰に強く絡ませたまま痛そうなまでに張りつめていた中心から熱を放つ。
今ので既に俺の倍以上吐精を果たしている白石の精液は白濁を通り越して最早ほぼ透明。
肩全体で息を整える様から相当の疲労が窺える。


「……早いなぁ、俺、まだなんやけど?」
「ぁ、……ごめんな、さっ……は、ぁ……はぁ、っ……ええよ、なまえが満足すまで……付き合うたる」


やおら持ち上げた両腕を俺の首に回せばより深く繋がって所謂対面座位。
「ぁっ、……ン」と上がった艶やかな声にぐちゅりと卑猥な音を立てた緩い結合部。
一回掻き出した方が締まり良くなりそやな。


「蔵、一端抜くで」
「! ッな、なんで……?」
「中に溜まったやつ出した方がヤり易いやろ」


俺の「緩いわ」の一言にくしゃりと顔を歪めて、謝罪の言葉が耳障りやった。
よろよろと危なっかしい腰を支えながら膝立ちの体勢を取らせ、早急に指を突っ込む。


「っ! ぅ、ぁ……ゃ、きゅ、に、!」
「文句言いなや」
「あッ! あ、そこっ……や……だめぇ、ひ、ぁ、ぁあッ」


びくっと白石の身体が大きく跳ねて、初めて俺の指が前立腺を引っ掻いたのだと気付いた。
拡がってひくひくしている孔から絶え間無く流れる精液。
ひとしきり中に溜まっていたものを掻き出し、再び俺の性器を白石の中に収める。

奥まで全て収めきったところで白石が嬉しそうに頬を緩めた風に見えたのは、きっと俺の都合の良い解釈。
隙間を埋めようと内壁が収縮を繰り返して、誘われるがまま何回目かの律動を再開した。



***



気絶から睡眠へと移行した白石。
その身体を俺が初めて清めることでこの行為に関係に終止符を打つことにする。

暗闇に慣れた眼で使い古した携帯を開けた。
眩しい画面の向こうはメールボックス。
震える手を誤魔化すように携帯を握り締めて大きく深呼吸。

なんべんも考えたけど、結局行き着いた先は同じやった。
白石も謙也もユウジもああ言うてくれとるけど、あかんねん。


「……蓮華……堪忍な」


もう蓮華が好いてくれたみょうじなまえは居らんのや。
脳内に蓮華の笑顔が浮かんで消えて、次いで白石の蔵の笑顔が浮かんだ。

ぽたり。

滴が携帯に落ちて、安らかな白石の寝顔に胸が苦しくなった。
何を今更。図々しいにも程がある。




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