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あかん、長居し過ぎてしもた。
部誌に一日の総まとめを記載するのに夢中になって、気付けばこんな時間。
俺は慌てて鞄を引っ掴んで学校を後にした。


今日は部活後になまえん家に行く事になっとって。
足早に歩き慣れた道なりを歩きながら携帯を確認し何も連絡が来てないことにほっと胸を撫で下ろす。
携帯を閉じたところでふっと辺りが暗くなった。
見上げれば電灯の明かりが切れたらしく、月も分厚い雲に隠れている。


「(……暗、早よ行こ)……!」


不意に感じた自身に付いて回る別の足音。
誰かにつけられている。
足元を吹き荒ぶ秋風に悪寒に似たものを感じ取り、走り抜けようとした。

そう、走り抜けようとしたのだ。


「こんな暗いとこを一人とか危ないでー」
「せやせや、自分顔整ってんやから」




この左手首を掴む見知らぬ男の手がなければ。




「……自分ら何なん」
「俺ら? そうやなぁ……」
「自分のファン、……てとこかな?」
「せやな」


俺のファンだという男達(何人居んねん)はぐるりと俺の四方を囲む。
まずい、逃げ道を塞がれた。
しかも半数以上ががたいのいい身体をしていて、到底力では敵いそうにない。

どうやってこの場を切り抜けようか。

そう全力で試行錯誤している隙に後ろから羽交い絞めにされる。
視界の端に映る二の腕は太く、身を捩るといった俺の抵抗は無意味に等しかった。


「っ、なに……すんねんッ! 離しや!!」
「そないに暴れんでもええやないか」
「ちょっと俺らの相手して欲しいだけなんやから」
「、は? ……相手、?」


勿論こっちの、気持ち悪い低音で股間を弄られて悪心が全身を駆け巡る。
吐き気に顔を歪めれば何を勘違いしたのか、目の前の男は弄る手を激しくしてきた。
汚い手で触んなや……ッ! なんて必死の怒声も薄ら笑いを浮かべる奴らには効果はなく。
身体に触れてくる手は増える一方。


「ぁ……、っく……っ、やめ……ッ!」
「流石聖書やな」
「男の誘い方まで基本に忠実ってな」
「声抑えるとか、煽ってるだけないか」


下卑た笑い。
見下ろす欲塗れの視線。

気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い!

なまえ以外に触れられてるのに、疼き出した自身の身体が情けなくて下唇を噛み締めた。
最早誰のかも分からない手に服はみるみるうちに肌蹴させられる。


「……うわ、肌白っ」
「ほんま綺麗な身体しとんなぁ」
「俺乳首舐めたいわー舐めてええ? ええよな」
「ッひ! 、ぃぁ……っ、は……、く……」
「あーずりぃ! 次俺やからな!」


ぬるりとした生温かいものが胸の突起を捉えて、開発されたこの身体は簡単に屈してしまう。
身体の至ることろを舐られ嬲られ観られ徐々に上擦って高くなる嬌声。
ずり落ちたズボンのポケットで携帯がその存在を主張するように震えていた。




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