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なまえの上に乗る形で背中から抱き抱えられ密着する。
時々耳朶を噛まれれば吐息が耳にかかってぞくりと中が疼く。
吐くことはなくなったが、相変わらず気持ち悪さは抜けない。


「あっ……く、ッ……んん、ぁ」
「やっと慣れてきてん」
「ッ慣れ、たかないわ……っ! アホんだら、ひッ、ぃあ!」


慣れてきたとかどの口が言うてんねや。
そう怒りをぶつけようにも刺激に飲み込まれて結局何も言い返せない。
どんな心境の変化があったのか回数を重ねるたびに行為が優しくなった気がする。
最初の一回は乱暴だったくせに。


「! あ、あぁあ……ッや、ぁ」
「……考え事なんて、随分余裕やな」
「そんなん、ちゃ……ッぁう、あ、やや……ッ」


がつがつと奥深くを抉られて喉からはひっきりなしに女みたいな声が上がる。
何回か女を抱いた事はあったけど、まさか男である俺が抱かれる側に回るなんて想像もしとらんかった。

俺でもこんな高い声出せるんやな。
ほんま吃驚や。


「っは……まあ、ええわ」
「ッひぁ! ああ、ァ、……も、むりっ、やぁ、ン」
「……出すで」
「! あ、か「先輩ら無用心っすわ」ッん、ぇ……ひか、る!」


どうしてここに、さーっと音がしそうな位の勢いで熱が下がってく。
それはなまえも同じみたいや。
熱いのは変わらんけど、明らかに質量が違う。
情事中の空気にそ知らぬ顔の財前はゆっくりと資料室の鍵をかけた。


「財前……」
「そない睨まんで下さい。別に部長にチクったりしないんで」
「そこは別にええねん。何で自分も居んねん。マジ空気読めや」
「、ぁ……なまえっ、ゃめ、ッ」


萎えかけたそれを不意にぎゅっと握られたことで腰は跳ね、中に入ったままのなまえのものを締めてしまう。
内壁越しに感じた形。確かな雄の象徴。


「……謙也さん」
「や、見んな……っぁ」
「俺も混ぜてくだ「却下」


なまえは財前に言葉の全てを言い切らせなかった。
鼓膜を通したなまえの声は不機嫌そのもの。
それにもかかわらず財前はどこか熱っぽい眼でこちらを見て、笑った。


「冷たくしたって無駄やで? その視線……は、ぁ……めっちゃぞくぞくしますわ」
「お前の事情なんか知らん」
「っは、……んん、ゃ、ぁ」


性交渉に不釣り合いな冷たい物言い。
息荒く興奮した微笑。
与えられ続ける快楽の波。

視覚から聴覚から触覚から犯されて、感じたのは確かな。


「ッん、ぁ……なまえ、あか、出、るッ……っぁ、ああ、あ!」
「……謙也さん、エロい」
「見られて興奮したんやろ」
「ちゃ、ぅ……ゃぁ、まだッ……出ちゃ、」


はしたないっすわ、溜め息混じりの台詞。
俺は後輩でパートナーである財前の前でイってしまった。
しかもまだ達していなかったなまえにそのまま続行されて流されて。
向けられた嫉妬の眼差しにまたきゅうと中が締まった。




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