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閉め切った遮光ではないカーテンを通じて差し込む橙の陽光。
行為に及ぶにはいささか早すぎる時間帯。
現に白石や財前はまだ学校に居る。


「白石―」
『は、はいっ』
「……、ッ……ぁ」


電話口から鳴るのは怯えた声。
さて、怯えているのは何に対してだろうか。
下では向こうにばれるのを恐れてか、謙也が必死に声を殺している。


「今日はもうかけんなや」


ぶつり、と白石の返事を待たずに電源ボタンを落とせばゆっくりと謙也と向き合う。
肌蹴たYシャツと足首(しかも片足の)まで下ろされた下着とズボンは衣服の役割を果たしていない。


「次からは勝手なこと、するんやないで?」
「堪忍ッ、ぁ……ん、ふ」


本来なら電話に出るつもりはなかったのだが、このアホが勝手に通話ボタンを押したのだ。
ちなみに携帯を持っていない方の手ではずっと謙也のモノを弄っていた。
そしてその間ずっと謙也は自身の嬌声を出すまいと堪えていた。


「……ホンマ自分も健気やな」
「ぇ? ……あ、ああっ!?」


俺の独り言に首を傾げた謙也は無垢で、自分との差を思い知らされる。
何も考えたくなくて手淫から口淫へと移行。
健康的な色をした脚は快楽に打ち震え、両手が必死にシーツに食らいつく。


「や、アカ、ッン……ふ、はあっ、ぅ」
「ひもひふぇえ?(気持ええ?)」
「ッひぁ、や……しゃべ、ら、あぁあ!」
「! ん、……」


たまたま先端の窪みに歯が掠めて、次の瞬間には口腔が苦くなっていた。
独特の雄の味と粘り気は決して良い舌触りではない。
されど慣れた液体、最早嫌悪感は感じない程に麻痺している。

べたべたな俺の両手が謙也の頬を固定した。
脱力してだらしなく開いた口、欲を煽る赤い舌。


「はあ、……ん、なまえ、? ん゛ぅ!?」
「、ん……はっ、全部飲みや」
「……ぅ、え゛、っげ、ほ……! っは、う゛ぇ」


生理的に吐き出されたものを口移しして、謙也はすぐに噎せて吐き出した。
唇の端から乳白色の液体が垂れる。
というか口から飛び出したそれは謙也の肩やらシーツやらに無残にも散らばった。


「白石はちゃんと飲むで」
「けほッ……ま、っずいわ……!」
「あっそ」


涙や唾液や精液塗れな顔で睨まれたって全然怖くない。
おざなりな俺の対応に謙也が声を荒げそうになったので、早々に後孔を弄ることにする。
舌先で突いてぬるりと挿入すれば起き上がりかけていた身体はベッドに逆戻り。
ある程度緩くなった孔に今度は指を押し込んで。


「っぁ、あ……や、気持ち、悪……ッ」
「じき慣れる。……もうええか」
「!? う゛、ぁッ……ぅ、や……は……っぐ……!」


若干固くなった自身を半分程捩じ込んだところで表情を変えた謙也。
奴は顔を青褪めて脂汗をかき「吐、く……」とはっきり言うや否や、嘔吐いた。

それはもうシーツの上に盛大に。




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