暗く陰った視界。
大きく振りかぶったなまえの右手には硝子のコップ。
酷く冷えた眼差しに本気の色が窺えたけれど、避けるには身体に傷を受け過ぎた。
真っ直ぐ振り下ろされた先は俺の左肩。
「――――ッつ、ぁあ!!!」
走る激痛に既に朧気だった思考は完全にブラックアウト。
薄れる意識の中で見たなまえが泣きそうに見えた。
「……ええ加減起きぃや」
「ッぅ!! い、た……ッ!?」
沈んでいた思考が強制的に引き戻される。
どれほど気絶していたかは分からないが、なまえが苛立っているのだけは分かった。
真っ暗な中乱雑に蹴飛ばされて、今の蹴りが痛いのか以前ついたものが痛いのか判断もつかない。
「なまえ、ッ! ……ぅ」
少し身動ぎしただけで左肩に走る痛み。
咄嗟に患部を押さえようとしたけれど何かが右手首に引っ掛かって叶わなかった。
何度身動ぎしても引っ掛かりが取れる感じがしない。
しかも、自由を制限しているのはどうやら上肢だけでないようだ。
布のようなもので四肢が拘束されている。
「……っなまえ、痛ッ、ぃ……! ふぁ、や、見え……ぁ」
「挿れんで」
「ぇ?! ぃ、あ……あ゛、ああ゛ッ」
無茶な挿入に、大して慣らされていなかったであろう後孔は嫌な音を立てて裂けた。
入口がひりひりして痛みしか感じない。
受け入れ慣れているとはいえ流石にキツくて。
生理的な涙は次から次へと溢れ、止まることをしらない。
この時水分を吸収する存在に初めて気付いた。
目隠しもされている。
「何萎えとんねん、しっかり動き」
「ッむ、りっ……いた……ッ! ……い゛、ぁ」
「……聞くに堪えんわ」
「、んむ゛!? ……ッんぅ」
なまえが呆れた風な溜め息を吐いたかと思ったら、布が口に押し込まれた。
空気が酸素が上手く取り込めず図らずも鼻息が荒くなり、正直かなり苦しい。
そうしている間にも熱い昂りは容赦なく打ち付けられて下半身から力が抜ける。
深く中を抉るなまえのものが前立腺を掠めたのか背筋を走ったびりっとした感覚。
その感覚に大きく背を反らした瞬間、左肩が強く痛んだ。
「ッ!! っふぐ、ん゛……ん゛ーッ」
「チッ、何やねん。……ほれ、言いたいことがあんなら言いや」
「っふぁ、何や左肩がっ……いた、ぃん、やっ」
「そ」
「、ぁああ!?」
息も絶え絶えな俺の言葉をたったの一言で済ませたなまえ。
直ぐそこに居るはずのに、分からない。
「でもな、俺には関係あらへん」
「! ッああ゛、あ……ッい、た、ゃ…ぃッ、だ、ぁう!」
痛みに感覚が麻痺してくる。
律動の度にその振動が左肩に響いて限界を訴える。
出入を繰り返す度に後孔の裂けた部分が擦れて事実を物語る。
萎えた俺自身をなまえが無理矢理に扱うことで絶頂へと向かわせる。
そして快楽と痛覚の中で俺は強制的にイかされて再び意識を飛ばした。
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