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「っん、ぅ! は、ぁ……っ」
「っ、白、石っ」


ベッドの上で絡み合う肢体。
互いの表情は下半身の刺激に歪んでいる。
一際奥を突き上げられて、震えた腰は快楽に従順だ。


「あ、っも……イ、く……っぁあ!」
「く……、っ」


覆い被さる側の腰に脚を巻き付けて、暫しの間二人は動かなかった。






事を済ませ事後処理も済ませ、服を正す白石の顔付きは厳しい。
雰囲気を甘受する暇も与えない彼の一挙一動をなまえは凝視する。
因みに彼は着替える素振りすらない。


「……ったく、もうちょい丁寧に扱ってや」
「よぉ言うわ。激しいの好きなくせに」
「そこやない! 縄や、縄! 跡めっちゃ残っとるやん」


背を向けていた白石が憤慨したように振り返って両手首をなまえの眼前に突き出す。
その両手首は痛々しく擦れて赤くなっていた。


「一応タオル使うたで」


僅かに眉間に皺を寄せて舌打ちしたなまえの反応に眉を吊り上げる白石。
見せ付けるように何度も手首をさすってなまえを睨んだ。


「あぁーあ、こういうん誤魔化すの大変やのに」
「……そら、悪かったな」


忌々しそうに吐き捨てて、ベッド近くの机から煙草を取って点火する。
カチ、安物の100円ライターが音を立てた。
一息吸ったところでくわえていた煙草を取り上げられ、不機嫌な顔のまま白石を睥睨する。
彼もまた不快感を露にしていた。


「俺の前で煙草は吸わん約束やろ!」
「へいへい」
「! ッゲホ、ケホッ……ちょ」


おざなりな返事をして、勢いよく口内に溜めていた紫煙を白石の顔面に吹き付ける。
きっ、効果音を付けるならこんなだろうか。
煙による生理的な涙を浮かべなまえを見る目はどこまでも敵愾心丸出しだ。


「嫌なら、この関係止めてもええねんで」


対するなまえは不遜な眼差しで目の前の白石を見上げた。
無言の睨み合いの末、先に行動を起こしたのは白石の方。
ずいっと唇が触れるか否かの間際まで顔を寄せて。



「止めて困るんは、自分やろ?」



不敵に口角を引き上げた。
そして、なまえが何かを発する前に卓上に無造作に置かれていた数枚の札をひったくって出て行った。




平行線が交わる点が導く結論
-それは矛盾-



(所詮彼に取っては遊び事)


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