鼠色の世界。
壁も無ければ天井もない。
澱んだ空間。
横たわる君と佇む自分。
此処は他者が立ち入れない禁猟区。
「やっと俺のモノになったね」
腹に深く刺さる刃物。
剥き出しの腸から溢れ出る体液。
鮮やかな紅が瞳を毒す。
此れで君を刺殺した回数は158回。
絞殺した回数は254回。
虚ろな双眸が此方を見つめる。
もう動かない手を握って微笑み返す。
暗転。そこで目が覚める。
昂りを纏ったまま携帯を取りだし番号を押す。
手元が震えたのはきっと気のせい。
『もしもし』
「なまえ先輩」
『リョーマ? どうかしたか?』
「……声が、聴きたくなって。スイマセン、こんな時間に」
『はは、なんで謝ンだよ。そういう時もあるだろ、気にすんな』
「……先輩、なまえ先輩、なまえなまえっ」
『リョーマ、』
312回目の殺意
-憎い訳じゃあないんだ-
(なまえ……愛してる、)
(愛情が飽和点を越える)
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